丸井グループの中で、エシカルな資産形成サービスであるtsumiki証券を立ち上げた寒竹さんに「エシカルな投資」についてお話を伺いました。
取材日:2022年4月28日
丸井グループの寒竹明日美さんは、2017年にエシカルな金融サービス tsumiki証券を立ち上げました。
金融というとエシカルでないイメージを持たれることもあるなかで、寒竹さんは「エシカルな投資は、エシカル消費と原理は同じ」という原点を大事にしてサービスを作りました。
エシカルな投資についての考えを伺います。
──インタビュアー(木村):tsumiki証券を立ち上げるきっかけは何でしたか。
寒竹さん:もともと、tsumiki証券は「クレジットカードで証券が買えたら面白いよね」という発想で始まりました。丸井グループはエポスカード (丸井グループが発行するクレジットカード)を主力商品の一つとしていますので、それを活かした金融サービスをと考えたのです。
そうすると、お金の管理をクレジットカードに一元化できます。今でこそ当たり前にあるサービスですが、2017年当時、他社さんも含めてそういうサービスは日本になかったと思います。
──そこから「エシカルな資産形成サービスを作ろう」と思われたのはなぜでしょう。
私は経営企画の立場でした。そこでまずお客様にインタビューしてみたところ、「投資はこわい」「だまされるのではないか」という印象を持たれる方もいらっしゃることがわかりました。
また投資では、損をした時の喪失感が大きく、「損をしたらすぐに投資をやめてしまう」という声を聞くこともありました。
さらに、「投資は悪」「儲けるのは罪悪感がある」というイメージもあるようでした。
けれど、お金は「社会の血液」とも言われるように、お金のよい循環を作ることは社会にとって大事なことです。投資に対して悪い印象が強い状況は、もったいないと感じました。
──それで「エシカルな投資」ができるサービスを立ち上げられたのですね。
そうです。投資も、よい形を作れれば「エシカル消費」と同じだと思うのです。
たとえば、作り手の思いに共感して、応援したいブランドの商品を買うことはエシカル消費ですよね。フェアトレードの認証ラベルがついた商品を買うこともエシカル消費です。
同じように投資も、投資先企業の「顔が見える」仕組みを作ったり、「この企業はサステナブルなビジネスをしています」と示したりできる形なら、エシカルで親しみやすいものになるはずです。
それで、tsumiki証券ではパートナー企業さんの力も借りながら、エシカルな投資サービスを厳選してご提供できるようにしました。
もう一つ、tsumiki証券のサービスが、投資に馴染みのない方にも親しみやすくなるように、サイト作りやアプリ作りにも時間をかけました。
──そういったエシカルな事業の企画は、当時、丸井グループさんの中で認められやすかったのですか。
弊グループでは2013、14年頃からステークホルダー経営を始めていました。今で言うSDGsやサステナビリティに当たる指針がありました。
そういう点で理解がありました。
* ステークホルダー経営:株主や顧客にかぎらず、事業の利害関係者(ステークホルダー)みんなに配慮した経営の仕方。さまざまな関係者にとって満足の行く形を作ることで長期的に持続可能(サステナブル)な経営が可能になる。
──寒竹さんご自身は、エシカルなことに昔から関心があったのでしょうか。
子供の頃から、遊びと言うと自然に触れる、動物園に行く、野山を駆けるといった風でした。親が連れて行ってくれました。
今でも、畑仕事のボランティアをしています。もう14、5年続けていますね。休日に畑へ行くと、畑は空が広いです。仕事と心のくつろぎのバランス、会社と地元で過ごす時間のバランス。そういうことが大事だと感じています。
取材/撮影/文:木村洋平
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