エシカルな金融・投資信託とは?(馬越裕子さん 前編)

エシカルな金融と投資について、コモンズ投信で働く馬越さんに伺います。

取材日:2022年5月19日

馬越裕子(うまごえ ゆうこ)さんは現在、コモンズ投信で「社会とのかかわり(ソーシャル・エンゲージメント)」を担当しています。

コモンズ投信はエシカルな投資信託会社であり、投資と寄付を通じてサステナブル(持続可能)な社会づくりを進めています。日本におけるESG投資の開拓者でもあります。

コモンズ投信は、どんな事業をしているのか? エシカル金融を垣間見てみましょう。


──インタビュアー(木村):コモンズ投信さんのメインの商品は「コモンズ30ファンド」ですね。

はい。「コモンズ30」は企業との継続的な対話を通じて、厳選した約30社の企業で構成されるファンドです。

30社程度に厳選すること(全上場企業の1%未満)で、1社1社を丁寧に調査・対話をすることが可能になります。また、それらを開示していますので、ファンドを買ってくださっているお客様も、どんな会社に投資しているのかがわかるようになっており、ファンドを通じて個々の企業を直接応援(株を買う)される方もいらっしゃいます。

私たちは、基準価格が下がった時にも説明責任を果たすように心がけています。常日頃からマーケットを取り巻く世界の政治・経済の状況や投資先の企業を見守り続け、基準価格が下がっても「今はこういった事情があります」と説明します。

大切なのは、お客様がご自身のものさしを持って主体的に選んでいただくことだと考えています。

*「ファンド」とは、投資信託のこと。投資家から集めたお金を運用の専門家が、株や債券の購入・保持に当てて生まれる商品。


──馬越さんは、コモンズ投信さんの寄付のしくみ「コモンズSEEDCap」や「社会起業家フォーラム」、「こどもトラストセミナー」の運営にたずさわっていらっしゃいますね。

はい。

コモンズSEEDCap は、コモンズ30ファンドに紐づく寄付のしくみで、コモンズ投信が創業以来続けてきた社会起業家支援です。 

わたしたちが考える社会起業家は、「確固たる信念をもって、社会を動かそうとしている人物」です。社会課題にいち早く気づき立ち上がった社会起業家に、弊社が受け取る信託報酬の1%相当を寄付し、1年間広報支援などでも応援するというプログラムです。 

現在第13回応援先を選考中です。

毎年秋に開催している社会起業家フォーラムは、社会課題解決のために自ら行動を起こしたリーダーたちがマイク一本と想いだけを手に7分間のスピーチリレーを展開するイベントです。

*「社会起業家」は社会をよりよくするために起業する人を指す。


──こどもトラストセミナーの方はいかがですか。

こどもトラストセミナーを始めたのは、2013年のことです。

弊社では長期投資を推奨しているため、お子さまの教育費のための資産形成にファンドを買われるお客様もいらっしゃいます。コモンズ投信のお客さまの6人に1人(約16%)がこどもトラスト(未成年口座)のお客さまです。

そして、こどもトラストを開始した当初から親御さんから寄せられていたのが、金融教育のニーズの声でした。

そこで、まずは、社会起業家フォーラムで出会った社会起業家の方々と共に、こどもたちに「社会のことを知ってもらう」ワークショップを様々展開しました。それが「こどもトラストセミナー」の始まりです。

お金はわたしたちがこの社会で、より良い未来を実現していくための一つのツールです。

そのツールをうまく使えるようになるには、わたしたちは自分達が生きている社会、そしてどんな未来を実現していきたいのか考える力、そして自分なりのものさし(価値観)が必要です。


──お子さまの反応はいかがでしたか。

のちに生まれたお金をテーマにしたワークショップでは、「使う」「貯める」「寄付する」「投資する」のお金にまつわる4つの選択肢を用意しました。

始めに「自分がもっているお金をどう振り分ける?」と問いかけると、多くのこどもたちが、「将来のために貯めておく」と言います。

まだ「お金を社会のなかで血液のように循環させる」ことの大切さに出会ったことがないとそういう考えになりがちで、また、親御さん達の中にもそのアイディアがない場合が多いので、まずは自分のために「貯めておく」という声かけになりがちです。

そこで改めて、子供たちに「社会課題が多くある世界で、自分だけが幸せな気持ちになれるだろうか?」と問いかけます。また、公共的なモノやサービスの具体例を挙げて、いっしょに考えてみると「寄付」や「投資」を選ぶ子が増えていきます。

このワークショップをわたしたちは、「meからWeへのお金の教室」と呼んでいます。

お金との幸せな付き合い方では、自分たちの未来を主体的に考え、「腑に落ちて、そうする」ということが大事ですね。


後編に続きます。


取材/撮影/文:木村洋平


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