──去年(2019年)オープンした コワーキング・シェアオフィス BUSO AGORA もそういう思いから生まれたのですね。
この街のひとが自由に自分らしく生きられるお手伝いをしたかったですね。自分が創業の時にしんどかったから思うのですが、出鼻をくじかれちゃうとつらいですよね。
本当はやりたかったのに諦めてしまうとしたら。だから、「やれない理由」ではなく「やれる理由」や「やる方法」をいっしょに考えてくれるひとが周りにたくさんいたら、それがいい。
お互いにアドバイスをしたり、人を紹介したり。僕も独立する時にいろいろなひとに相談したのですが、「やれない理由」をずいぶん言われました。
だけど、もしみんながそんなことばかり言われていたら、本当にやる気がなくなってしまうよね、と思います。銀行に行っても、保証人と担保の話しかされなかったですからね。
──本当にそうでしょうね。BUSO AGORAの今後をどのように構想されていますか。
創業支援、ビジネス支援をもっと充実させること。それから年内に取り組むのは環境をよくすること。具体的にはルールや雰囲気をしっかり作っていくことですね。
そこを正していくことで、みなさんが気持ちよく過ごせる場を作ります。あとは、物理的な設備を整備すること、それから食の充実を図ります。
もう一つ、学生や若い人のための「起業家甲子園」を開きたいですね。すぐれた事業案をもつひとに賞金を出したい。
たとえば、この地域の銀行やお金をもっているひとの協賛を得られないか、とも考えています。さらに、食や住むところも含めて提供できると一番よいですね。
──BUSO AGORAの立ち上げのほかにも、薬師池公園を観光拠点としてリニューアルさせるなど、KWDさんは地域のプロジェクトを多角的に進めていらっしゃいますね。飲食業に限って事業をするというお考えではないのですね。
はい。実は、僕はすごい人見知りなんですよ(笑)。
飲食業をやっていますが、接客が得意というよりも空間を作るのが好きなんです。みなさんが楽しめる場を作っていく、それを見ていると僕も楽しい、という感じですね。
──保志さんは「飲食業にはひとを集める力がある」とおっしゃっていますね。
なにか、地域にすごくいいものがあったり、いいことしているひとがいたりしても、そこにひとが集まらない状況ってありますよね。
だけど、その隣にカフェを作ってみる。するとひとが集まって、もともとある商品や場のよさを知ってもらえたりします。
そういう風に飲食業と言っても、飲食を提供するだけ、と考えなくてよいと思うんです。
街のいろいろな方たちとコラボレーションしながら、魅力的なコンテンツを発信する。そういうプロデュースは面白いし、これからもやっていきたいと思っています。
──本当に、武相に対する思い入れが伝わってきました。
僕は武相の土地とひとに育ててもらったから、お世話になってきた恩を返したいという思いがありますね。
取材・文:木村洋平
写真:小宮裕治
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