子宮頸がんから子どもと若者を守ろう。ワクチンで予防ができます

子宮頸がんは、ワクチンによって予防できる数少ないがんです。ワクチンの効果と種類、副反応についてわかりやすくまとめます。

日本で、年間およそ1万人がかかる子宮頸がん。毎年、3,000人近い女性が子宮頸がんによって命を落としています。また、近年は20〜30代の若年層の発症が増えており、年間1200人が30歳までにがんの治療で子宮を失っています。

しかし、子宮頸がんは「予防できる数少ないがん」と言われています。予防方法は、HPVワクチンを半年かけて3回接種すること。子宮頸がんの95%は、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスが原因です。

今回は、子どもたちと若い人の将来を守るために、子宮頸がんとHPVワクチンについて考えてみましょう。


子宮頸がんとは?

子宮頸がんは、子宮下部の管状の部分にできるがんのこと。子宮がん(子宮頸部と子宮体部のがん)のうち、およそ7割を子宮頸がんが占めます。

原因のほとんどは、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスの感染です。性交渉経験のある女性の50〜80%はHPVに感染しているといわれ、感染者のうち一部の女性が数年、もしくは十数年後に子宮頸がんを発症します。

* ただし、HPVは女性だけが感染するものではありません。男性もこのウイルスに感染し、喉頭咽頭がん、肛門がん、陰茎がんの原因となる場合があります。


20~30代の発症が増加している子宮頸がん

子宮頸がんは、1980年代には50歳代が発症のピークでしたが、近年は20〜30代の若年層における発症が増えています。

「子宮頸がんとHPVワクチンに関する最新の知識と正しい理解の貯めに」日本産科婦人科学会

子宮頸がんの95%はHPVというウイルスが原因ですが、感染しても9割の人は免疫によってHPVが自然に排除されます。残り1割の人は自然治癒せず、異形成という前がん病変を経てがんへと進行します。

「子宮頸がんパンフレット」厚生労働省」

HPVには、100以上の種類があります。そのうち、子宮頸がんを引き起こすウイルスに対して効くワクチンが開発されています。


70〜90%もの高い予防率を誇る子宮頸がんワクチン

2021年9月時点で、日本国内で承認されているHPVワクチンは3種類あります。うち2つは定期接種の対象となっており、小学校6年生から高校1年生の女子は公費により無料で接種できます。(2価, 商標名サーバリックスと4価, 商標名ガーダシル)

* 定期接種の年齢枠から外れてしまうと自費(約1万5千円〜2万円/回)になります。

しかし、一番効果の高いワクチンは、残念ながら日本ではまだ任意接種対象です。そのため、接種する場合は年齢にかかわらず自費(約3万円/回)負担となります。(9価, 商標名シルガード)

HPVワクチンは、全体に70〜90%という高い予防率を誇ります。


早めのワクチン接種と子宮がん検診

ただし、いくらワクチンがあっても、すでに感染した細胞からウイルスを排除することはできません。そのため、感染源となる性交渉を経験する前に接種することが重要だと言われています。厚生労働省は、13〜16歳の女性に接種をおおむね推奨しています。

厚生労働省による通知(2021年11月26日)

また、HPVワクチンを接種してもすべてのウイルスを予防できるわけではないので、定期的な子宮がん検診を受けることが推奨されています。

なお、2013年度の子宮がん検診の受診率は、米国が80%以上なのに対し、日本は42.1%でした。症状がなくても定期的に検診を受けることは大切であり、日本の子宮がん検診受診率の低さは課題です。

「低い日本の検診受診率」厚生労働省


HPVワクチンの副反応とは

日本では、HPVワクチンは2009年に承認され、2013年4月より定期接種がされるようになりました。しかし、副反応が報告されるようになったことで、2013年以降は自治体による接種推奨は控えられて来ました。

しかし、2017年になって厚生労働省が接種後の症状はHPVワクチンが原因ではないとの見方を出し、2021年には厚生労働省もワクチン接種を「推奨」するよう自治体に周知する方針へと切り替えています。

厚生労働省による通知(2021年11月26日)

また、WHO(世界保健機構)は以前からHPVのワクチン接種を推奨しており、副反応は短期的・局所的なものであるという見解を示しています。


女性だけでなく男性も考えて欲しい。子どもの未来を守る選択とは

WHO(世界保健機関)は接種を推奨しており、現在では100カ国以上で公的な予防接種が行われています。カナダ、イギリス、オーストラリアでは接種率は約8割です。

さらに2019年、WHOは「子宮頸がん排除」への声明を発表しました。HPVワクチンと検診によって、今世紀中に子宮頸がんをなくすことは可能だとし、「ワクチン接種率90%」と「検診受診率70%」を2030年までの目標として掲げています。

実際、ワクチン接種率が高い国では、子宮頸がんが国からなくなることも視野に入ってきています。

しかし日本の接種率は0.3%と低いままです。未成年や若い女性はもちろん、その家族やパートナーも子宮頸がんのワクチン接種について知り、考える機会を持てるとよいですね。

また、男性もHPVに感染し、がんを発症する可能性があることから、あらかじめ知識を持っておくことは将来、役に立つでしょう。


出典:Deeper
編集:古賀瞳、木村洋平


こちらの記事もおすすめ