私たちの心と体を守る「性教育」を学ぼう

性教育は、心身の安全と安心を守るための人間教育です。しかし、日本の性教育は世界と比較して遅れているといわれています。

赤いハートマークと影

日本の性教育は遅れている?

現在、日本の性教育は以下の内容で教えられています。


・小学校…体の発育・発達についての理解(生理など)
・中学校…心身の機能の発達と心の健康の理解、性感染症のリスクと予防
・高校…妊娠・出産、避妊や人工妊娠中絶

中学校になって、受精・妊娠のメカニズムや感染症について初めて学びます。

しかし、ここで問題なのが「性交(セックス)」が「はどめ規定」に当てはまることです。

「はどめ規定」とは、学習指導要領の中で教える内容の扱い方を制限するのもです。

「はどめ規定」により、授業では性交に触れずに受精を教えなければならず、教科書では膣や子宮内にすでに精子がある状況で説明しなければなりません。


性教育が不十分だと、どんな影響を及ぼすの?

学校の教室

性教育が十分に行われていないと、将来、子どもたちがパートナーシップのゆがみやハラスメント、暴力にかかわる問題に巻き込まれてしまうかもしれません。


性暴力・性被害が認識できない

学校の授業では、性暴力や性被害の具体的な内容は学びません。

子どもの中には、性加害・性暴力の被害に遭ったとしても、「何がダメなのか」を理解していないと「よくあるかもしれないこと」としてやり過ごしてしまうケースがあります。

また、性被害にあったときの行動が分からず、自分一人で問題を抱えてしまう子どもも多いといわれています。それは大人になっても心の傷として残り、治療を必要とするケースもあります。


誤った性の情報を学んでしまう

ネット環境の整った日本では、性について簡単にインターネットで調べることができます。

しかし正しい情報を知らない状態で、過剰な表現を含む架空の性的コンテンツを見ることで、それが正しいと認識してしまいます。


望まない妊娠

正しい避妊方法を知らないために、望まない妊娠に繋がる可能性もあります。

みなさんは、緊急避妊法をご存知でしょうか?

避妊をせずに性行為をしてしまったり、避妊が失敗してしまった際に、妊娠を防止する方法です。

緊急避妊ピル(錠剤)を性行為後、72時間以内に飲むことで排卵や受精を抑制します。緊急避妊ピルは医療機関を受診することで処方してもらえます。

正しい避妊方法を実践し、また、避妊できなかった際の対応を理解していれば、望まない妊娠を避けられるでしょう。


海外の性教育事情

海外の学校で教育する風景

性教育のスタートは、日本と同じく小学生からの国がほとんどです。しかし、授業の内容は具体的で、日本では教えられない「性交」にも触れています。

たとえばフィンランドの中学校では、感染症などの他にも異性愛・同性愛や自慰の説明も行われます。性器の形がひとによってさまざまであることも学びます。

ドイツでは小学5年生の生物の授業で、性が扱われます。実際の避妊具を手にとったり、コンドームの装着の練習を行ったり、性暴力の理解や、性的同意の重要性も教えられます。

イギリス警察は2015年に「性行為における同意を紅茶にたとえた動画」を公開しました。この動画では、いっしょに紅茶を飲むことと同じように性行為にも相手の同意と承認が必要であることを、子どもにも分かりやすく伝えています。


世界と比較すると、日本の性教育の現状は遅れていると言わざるを得ません。

日本の性教育は徐々に変わりつつありますが、「子どもにはまだ早い」「寝た子を起こすな」という考えが根底にあるのも事実です。そのため、正しい情報を早いうちから学びづらい環境です。

そんななかで性について適切な情報を、身近なものやゲームで触れられるよう環境を整えるソーシャルビジネス(社会的起業)も生まれています。

参考:Sowledge(ソウレッジ)


性教育とは「性行為を教えること」ではありません

日本ではまだ、多くの人が「性教育=性行為を教えること」だと思っています。

しかし性教育とは、性にかかわる暴力やトラブルから身を守るための人間教育です。

「性教育によって性に興味を持ってしまったら」と心配する声もありますが、教えることで性交年齢が早まる可能性は低く、逆に慎重になるとの調査結果も出ています。

大人自身が性に関する知識や道徳、倫理観を持ち合わせていないことも問題とされています。

大人になってから、性を学んでも遅くはありません。むしろ、子供時代に学べなかった世代は積極的に関心を持ってよいと思います。

パートナーシップや家族はもちろん、自分と自分にかかわるひとの両方を尊重し、居心地が良いと感じられる関係を作ることが、性を学ぶ本当の目的なのかもしれません。


文:古賀瞳


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