ジェンダーギャップ(男女格差)って何?

「ジェンダーギャップ」という言葉を聞いたことがありますか? ジェンダーギャップとは、男女の違いから生まれる社会的な格差のことです。

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ジェンダーギャップ(男女格差)とは?

性のちがいを表す言葉としては「gender(ジェンダー)」と「sex(セックス)」の2種類があります。生物学的な性別であるsex(セックス)に対して、社会的・文化的に形成される性別をgender(ジェンダー)と呼びます。

ジェンダーは、いわゆる”男らしさ””女らしさ”を指し、社会的に期待される行動や課される役割も意味します。

ジェンダーギャップ(男女格差)とは性別本来の能力とは関係のない社会的な役割が、増幅した結果、男女間で不平等が生まれている状態です。持続可能な社会の実現のためにはジェンダーギャップをなくす必要があります。

世界的に女性の立場は弱く、教育や経済などあらゆる分野で格差が生じており、SDGs(持続可能な開発目標)では「目標5.ジェンダー平等を実現しよう」で男女平等が謳われています。

ジェンダーギャップは世界各国で解決すべき問題でしょう。

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ジェンダーギャップが引き起こす問題

ジェンダーギャップが引き起こす問題はさまざまですが、その中でも以下の3つ(A〜C)があげられます。


A. 雇用格差

1. 女性の一般職の比率

国内では、男女平等のための制度整備が進み、育児や出産を機に仕事を辞める女性は減少しています。しかし、昔からの雇用慣行が残る日本企業では総合職には男性が多く、一般職には女性が多くみられます。


2.非正規労働者の割合

女性の社会進出と考える時、管理職比率に注目することは多いです。そのほか、非正規労働者の割合でもジェンダーギャップによる問題を知ることができます。

日本の女性雇用者の半数以上が非正規労働者で、一度退職すると再就職を希望しても家庭と仕事の両立を考えて非正規雇用を選ぶ女性が多い現状もあるのです。


3.男女の不平等

結婚や出産により長期的な労働が不可能だという見方が強く、雇用機会だけでなく収入や昇進についても男女での不平等が多く見受けられます。


B. 賃金格差

女性の就職率は上がってきましたが、賃金格差はなかなか縮まっていません。

厚生労働省から発表された「2019年賃金構造基本統計調査の概要」によると男性を100とした男女間賃金格差は、74.3となっています。具体的な数字では、2019年の男性の賃金は338,800円、女性の賃金は251,800円となっています。

賃金格差が他の先進国では80〜90%であることを考慮すると、日本での賃金格差は依然として大きいと言えるでしょう。

男女間の賃金格差は、シングルマザーの貧困化や子どもの貧困化にもつながってしまう大きな問題です。


C. 暴力・虐待による被害

男性に比べて女性が体格的・体力的に弱いという認識から、女性に対する暴力や虐待被害があることもジェンダーギャップによる問題です。

2021年3月の世界保健機関(WHO)の発表によると、世界の女性の3人に1人が身体的・性的暴力の被害者となり、15〜19歳の女子1,500万人以上が強姦の被害に遭っていると報告されています。

また日本においても女性への暴力や虐待による被害は後を絶ちません。

2019年度の配偶者暴力相談支援センターにおける相談件数は、男性が約3,000件に対して女性からは約116,000件となっています。

同報告によると、ストーカー行為等に関する相談件数も男性より女性の方が多く、女性がより多く被害に遭っていることが分かりました。

参考:男女共同参画局 配偶者からの暴力に関するデータ


ジェンダーギャップ指数で、男女格差が明確に

ジェンダーギャップデモ

「ジェンダーギャップがどれくらいあるのか」を示す指標として「ジェンダーギャップ指数」がよく使われます。

ジェンダーギャップ指数とは、各国の男女格差を数値化したもので、数値(最大1)が高ければ高いほど男女間の差がないと評価され、教育・経済・保険・政治の4分野で構成されます。


教育分野
識字率、初等教育就学率、中教育就学率、高等教育就学率の男女比

経済分野
労働参加率、同一労働における賃金、推定勤労所得、管理的職業従事者、専門技術の男女比

政治分野
国会議員・官僚・最近50年における行政府の長の在任年数の男女比

保険分野
出生時性比、平均寿命の男女比


日本のジェンダーギャップ指数は156カ国中120位

2021年に発表された、世界経済フォーラム「グローバル・ジェンダーギャップ報告書」で、日本は156カ国中120位という結果になりました。前回の2020年は153か国中121位であり、前回と比べてほぼ横ばいとなっています。

この結果は先進国の中でもっとも低い順位で、G7参加国では最下位、ASEAN諸国よりも低い結果となっています。

* ASEAN(東南アジア諸国連合)の加盟国:インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス(全10か国)


【ジェンダーギャップ指数(2021)上位国および主な国の順位】

順位国名
1アイスランド0.892
2フィンランド0.861
3ノルウェー0.849
4ニュージーランド0.840
5スウェーデン0.823
11ドイツ0.796
16フランス0.784
23英国0.775
24カナダ0.772
30米国0.763
63イタリア0.721
79タイ0.710
81ロシア0.708
87ベトナム0.701
101インドネシア0.688
102韓国0.687
107中国0.682
119アンゴラ0.657
120日本0.656
121シエラレオネ0.655
内閣府 男女共同参画局 共同参画 令和3年5月号を元に作成


参考:Global Gender Gap Report 2021 (英語、PDF。世界経済フォーラムの「グローバル・ジェンダーギャップ報告書」)

日本は教育(92位)や保険(65位)ではとても低い水準ではないものの、経済(117位)や政治(147位)の順位は極端に低い結果となりました。

女性議員や官僚、企業の役員、理事会などをみても、男性が圧倒的に多いですよね。世界各国がジェンダー平等への取り組みを行なっている中で、日本はとても遅れているのが現状です。


ジェンダーギャップをなくすための世界の取り組み

赤ちゃん

日本ではジェンダーギャップをなくすために様々な取り組みが行われていますが、それは海外も同じこと。

世界各国で、男女平等を実現するためにあらゆる取り組みが行われています。


アイスランド:男女の賃金格差を法律で禁止に

2018年、アイスランドで男女間賃金格差を違法とする世界初の法律ができました。

2016年の調査で、女性の平均所得が男性より3割少ないことが明らかになり、女性たちが国会議事堂前でストライキを起こしたことがきっかけとなりました。

この法律では、男女での同一労働同一賃金の証明が、雇用主に義務付けられました。


スウェーデン:会議中の発言を分析してグラフ化するアプリを開発

会議ではよく話す女性役員より、よく話す男性役員の方が高く評価される、という研究があります。

「女性は会議中あまり発言しないのが普通」。このような偏見は、無自覚・無意識的に持たれているのではないでしょうか?

スウェーデンにあるデザイン会社は、無意識的な偏見を知ってもらうことを目的に、音声認識機能でジェンダーバイアスをグラフ化するアプリ「Gender EQ」を開発しました。

アプリは発言内容を分析するのではなく、男女の発言頻度や時間を分析し、女性の発言率の低さを表示します。


イギリス:ジェンダー偏見を生む広告表現を規制

2019年、イギリスの広告基準協議会(ASA)は「性別にもとづく有害なステレオタイプ(世間的固定概念)」を使用した広告を禁止しました。

この決定により「男性はおむつが替えられない」「女性は車の駐車が苦手」などの表現や「女の子の将来の夢はお嫁さん」などの社会的役割を断定してしまうような表現を避けなければいけません。

ASAの広告基準は、インターネットやSNSでの広告にも適用されています。


アメリカ:男性トイレにもおむつ交換台の設置を義務化

アメリカのニューヨーク州では2019年、新たに建設、改築された建物に備えられる公共男子トイレに、おむつ交換台の設置を義務付ける州法が発効されました。

男性トイレのおむつ交換台設置は、男女の平等な育児を促進するだけではありません。LGBTのカップルや父子家庭の父親がおむつ交換台を探す手間を減らすこともできます。

この州法の起草者は、男性パートナーと子育てをする男性の州上院議員でした。


日本のジェンダーギャップの課題

日本のジェンダーギャップへの取り組みは遅れていると言われています。先進諸国だけでなく発展途上国と比較しても、日本の状況はよくありません。

海外で行われている取り組みを参考に、日本でもジェンダーギャップをなくすための施策を積極的に取り入れていくのが良いでしょう。

日本では「当たり前」や「常識」として多くのジェンダーギャップが容認されています。

ジェンダーギャップを一気になくすことは難しいかもしれませんが、一つひとつ見直していくことが大切なのではないでしょうか?


文:古賀瞳



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