食品ロスとは? 世界と日本の現状、そして私たちにできること

「食品ロス」(フードロス)とは、まだ食べられるのに捨てられる食品のこと。今回はこうした食品ロスの原因と現状、私たちにできることをご紹介します。

たくさんの食品


食品ロスとは?

「食品ロス」(フードロス)とは、まだ食べられるのに捨てられる食品のこと。お店での売れ残りやレストランでの食べ残しが当てはまります。

世界には飢餓によって病気になったり亡くなったりする人がいる一方で、日本を含む先進国ではまだ食べられる食品が大量に捨てられています。

近年ニュースでよく聞くようになった「食品ロス」という単語は、新しい言葉だと思われがちですが、実は30年前にはすでにメディアに登場しており、問題視されていました。


なぜ食品ロスが問題になっているの?

ではなぜ今、食品ロスが大きな問題として注目されているのでしょうか。

ここには、実は2015年の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)が関係しています。食品ロスはSDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」で取り上げられています。

12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。

SDGsジャーナル【SDGs支援機構】


頑張って作った食料を、食べずに捨ててしまうのはもったいないですよね。努力すれば食料廃棄は減らせます。

また、食品ロスは環境問題の要因の一つです。

食品ロスを廃棄する際に発生する温室効果ガスは、世界の温室効果ガスの8%に相当します。

食べられる食品が捨てられるのは、食材を育ててお店に並ぶまでに使われた水やエネルギーを無駄にしていることになります。


事業系食品ロスと家庭系食品ロス

食品ロスには大きく分けて「事業系食品ロス」と「家庭系食品ロス」の2種類があります。

事業系食品ロスとは、生産時に出る規格外品や消費者からの返品、スーパーやレストランでの売れ残りと食べ残しのこと。

家庭系食品ロスは、買いすぎによる直接廃棄や作りすぎや好き嫌いによる食べ残し、そして過度な健康志向などによる過剰除去が当てはまります。

2017年度の調査によると事業系食品ロスは約328万トン、家庭系食品ロスの量は約284万トンの食品ロスが発生しています。


食品ロスの現状

まず、世界の食品ロスについて見てみましょう。

現在、世界では9人に1人が飢餓で苦しんでいると言われています。

しかし世界では、彼らに分け与えても有り余るほどの食糧が生産されています。飢餓が生まれる原因は、十分な食糧のうち、3分の1が食品ロスで捨てられているからです。

先進国では、毎年大量の食品ロスが発生しています。その量はなんと、年間13億トン。原因は、主に大量生産による作りすぎや賞味期限切れ、高い外観品質基準です。

特に外観品質基準、つまり「見栄え」による規格外品は、味や栄養価にはまったく問題が無いものの、廃棄されてしまっています。


次に日本の食品ロスについてです。

日本の食品ロスは年間約612万トンと言われ、東京ドーム約5杯分に相当します。国民一人当たり、毎日お茶碗1杯分の食料を捨てているのと同じなのです。

* 参考:農林水産省 残さずいただきます ① 食品ロスの現状を知る


食品ロス削減のためにできる対策とは

日本は、食品ロスの「2030年度までに2000年度比での半減」を目標としています。これは、事業系食品ロスと家庭系食品ロスの両方に当てはまります。

では、この目標を達成するために、私たちにはどのようなことができるのでしょうか。


企業ができる食品ロス対策

スーパーやコンビニなどの小売店や食品メーカーで発生する食品ロスを減らすためには、過剰に発注しないことや見切り・値引き販売して売り切る工夫をすることです。

また「フードバンク」に寄付する方法もあります。フードバンクは日本全国にあり、寄付された食料は児童養護施設やシェルター、炊き出しなど食に困っている方に無償で提供しています。

* 参考:セカンドハーベストジャパン


家庭でできる食品ロス対策

家庭での食品ロス対策は、とてもシンプルで簡単なものばかりです。

買いすぎない
作りすぎない
好き嫌いしない
ゴミを減らす工夫をする
賞味期限をこまめにチェックする


買い物に行く前に冷蔵庫をチェックしたり、野菜の皮むきの際に切りすぎないようにしたりと、かんたんなことばかりです。
私たちが少し意識するだけで、食品ロスの削減につながります。


食品ロスを削減しながら節約ができる通販サイト

2020年1月ごろから発生した新型コロナウイルスは、外食産業における大量の食品ロスを発生させました。

一方で、食品ロス削減につながる新たなビジネスを拡大させたのも事実です。今回は、食品ロス削減に協力できる、3つの通販サイトをご紹介します。


KURADSHI
株式会社クラダシが運営する日本初・最大級の社会貢献型ショッピングサイト「KURADASHI」。

社会貢献活動に賛同するメーカーから安い価格で商品を提供してもらっているため、賞味期限が迫った商品をお得な値段で購入できます。

また、購入代金の一部は社会活動団体に寄付されるのも嬉しいポイントです。


豊洲市場 フードロス削減ドットコム
株式会社食文化が運営しているのが「豊洲市場 フードロス削減ドットコム」。

豊洲市場に入荷する旬のフルーツや海鮮をメインに扱っている通販サイトです。

賞味期限が短い食品だけでなく、小さい傷や脚の折れによって市場に出せなくなった高級蟹から相場下落により行き場を失った新鮮な野菜まで、格安で手に入れられます。


ロスゼロ
「ロスゼロ」は、品質や味に問題は無いのに様々な理由で食品ロスになる寸前の「ロス予備軍」を、食べ手へ届けることをコンセプトにした通販サイトです。

観光地のお土産などのお菓子やスイーツを多く取り扱っており、安いものだと半額で購入できることもあります。


食生活から、地球を守ろう

食品ロス削減は世界が一丸となって取り組むべき問題です。

それに対して、私たちが個人でできる対策はたくさんあり、その一つ一つはとてもシンプルでかんたんです。

私たち一人ひとりが、毎日の食生活に少しの意識を向けるだけで、食品ロスの問題を改善できると思います。

現状を知ったうえで、自分にできそうなことから始めて、食品ロスの削減に取り組めたらよいですね。


文:古賀瞳



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