山口県でフルタイムの農業を2か月してみたら、身体感覚をしっかり意識することでマインドフルネスな感覚を味わえた、という経験ができました。
都会の喧騒から離れ、自然のある環境で暮らしたい。
そのような思いから農業や農的暮らしが気になる、という方もいらっしゃると思います。
かくいう私もその一人。
自然を身近に感じる暮らしのヒントになればと思い、先日、2か月間の農業の短期アルバイトを経験しました。
この記事では、印象深かったことの一つとして、作業を通じて自身の身体感覚にしっかり集中するマインドフルネスな状態を体験できた、ということについてお伝えしたいと思います。
筆者の背景これまでの仕事経験
生まれも育ちも、青森県の都市部。県全体としては田舎であるものの、自然や農業は身近なものではありませんでした。
金融系の事務を経て、農山村ボランティアや、ライター、野菜・ハーブ類の収穫アルバイトなどを経験。フルタイムの農業のお仕事は今回が初でした。
今回体験した農業アルバイトの概要
期間:2022年5月中旬~7月中旬の約2か月
場所:山口県北部
仕事先:少量多品目の野菜を生産する個人農家
滞在先:シェアハウス
西日本を旅行後、農業の仕事を体験したいと思い立ち、山口へ。
アルバイト先の町は山口県の主要都市から遠く、さらにその町の中でも山間部での就業でした。
周囲を山に囲まれ、民家もまばら。盆地に田んぼが広がる環境は、都市部のごみごみした環境が苦手な方には、良い場所だと感じました。
どんな作業内容だったか
一日の主なスケジュールおよび、主に行った作業内容と感想についてご紹介します。
一日の主なスケジュール
8:30 始業
出荷のための野菜の袋詰め
または配送
12:00 お昼休憩
13:00 午後の作業
17:30 終業
午前中は出荷のために野菜をひたすら袋詰めし、それをお昼前後に出荷するパターンがほとんど。日によっては朝から畑作業、という場合もありました。
主に行った作業について
・野菜の出荷準備(袋詰め、コンテナ運び)
・道の駅やスーパー、直売所への配送・品出し
・野菜の種まき、苗の植え付け
・畝の管理(マルチシート張り・剥がし、草取り、土寄せなど)
すべての工程ではないものの、野菜の種まきから出荷まで、野菜が消費者に届くまでの一連の作業を経験できました。
野菜の袋詰めや出荷については、消費者が手に取りやすいよう見栄えよくすること、かつ野菜は傷みやすいため手早く作業することが大切だと教わりました。
てきぱきとした作業が苦手な私は、時折注意されながらも、農家さんのやり方をまねたり、作業しやすいように工夫したりして、なんとか仕事をこなしていました。
苗の植え付けや畝の管理作業など畑仕事については、体力を使う仕事だと強く実感。
しゃがんで草取りをしたり、立った姿勢でマルチシートの留め具を外していったりと、足腰にしっかりと力を入れなければなりません。
しかもそれを最低でも2、3時間行うため、早さを意識しつつも、自分の体の疲れ具合を見ながら作業することも大事だなと学びました。
農業の仕事を通じて印象深かったこと
農業アルバイトを通じて、野菜の生産から流通までの流れや、農家さんのお仕事の大変さなど、本当にさまざまな学びや気付きがありました。
そのうち、特に印象深かったことを一つお伝えするとすれば、意外かもしれませんが、自分の身体感覚へ意識を集中する経験ができたことです。
その経験は、苗の植え付けや畝のマルチシート張り、草取り作業などの畑作業を通じて得ることができました。
これらの作業では、自分の体をフルに使わなければなりません。
それに加え、外で作業することで、その時の気温や湿度、日差し、風の吹き具合などの五感もより敏感に感じ取ることができます。
私が働いていた5月から7月は、夏に向かいだんだんと暑さが厳しくなる時期でした。
暑さから逃れるため、できる限り早く進めようと懸命に作業していくと、気付けば無心になっている自分に気づきました。
今振り返ると、その時の自分は、身体感覚や五感に深く意識を集中している状態、いわゆるマインドフルネスに近い状態だったのではないか、と思います。
そうした作業の後は、気持ちがスッキリと感じられることが多くありました。
ときには自然の中で体の声を聴いてみよう
私は今回の農業の仕事で、自分の身体感覚に意識を集中することで気持ちがリフレッシュすることに気が付きました。
それまでの生活では、パソコンやスマホに接する時間が多いためか、溢れかえる情報に常に頭がごちゃごちゃしている、という状態も多かったように感じます。
そんな中、この農作業の体験から、ときには情報の波から距離を置き、自分の体の感覚に目を向けることも大切だと学びました。
これは農作業に限らず、窓を開けて風を感じてみる、外に出て散歩をしてみる、などでもよいと思います。
もし「頭の中が思考でいっぱい、気持ちを切り替えたい」と思ったなら、外に出て、自分の体の感覚を味わってみてはいかがでしょうか。
文/写真:有馬里実
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