【体験】生ゴミを減らそう!コンポストを始めてみました

家庭から出る生ゴミの量を減らすことができ、環境にも優しいコンポスト。実際にコンポストを始めてみました。

土を持つ手

今回は、身近に始められるコンポストを紹介します。「コンポスト」は家庭ゴミ、とくに生ゴミを微生物や米ぬかの力を借りて発酵・分解させ、土に返す仕組みです。

専用の容器を使ってゴミの量を減らし、堆肥(農業用の肥料)を作ることができます。

日本には「もったいない」という概念があり、昔から日本人はあらゆるものを有効活用してきました。中でも生ゴミや糞などは栄養満点な堆肥として利用されていました。日本では古くからコンポストを行っていたんですね。

技術の発展により、日常で堆肥に触れる機会は減りました。しかし近年、ゴミの削減やエシカルな暮らしという観点からコンポストが注目されています。


「コンポスト」とは?

コンポストとは「堆肥」や「堆肥化すること」を意味し、英語の compost から来ています。コンポストに使う容器のことを「コンポスター」と呼ぶこともあります。

堆肥とは落ち葉や稲わら、生ゴミ、糞尿などを微生物やミミズなどを使って発酵・腐熟させたものを指します。

また、家庭ゴミを減らす方法の一つとしてコンポストを推奨している自治体も多いです。

参考:東京都板橋区「生ごみのリサイクル たい肥をつくろう!」


コンポストの嬉しい3つの魅力

コンポストにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

ここではコンポストの嬉しい3つの魅力をご紹介します。

生ゴミが減る

環境省の調査によると、家庭から出るゴミのうち約40%は生ゴミです。生ゴミは水分を含んでいる場合が多いため重さがあり、夏場になると臭いの原因にもなります。

しかしコンポストをすると生ゴミが減り、家庭から出るゴミの量も減らすことができます。

ゴミの量が減れば、ゴミ出しにいく回数も、ゴミ袋を買う金額も抑えられます。生ゴミの臭いも軽減できるでしょう。また可燃ゴミに生ゴミが入っていなければ、カラスなどに荒らされることもなくなります。

栄養満点な堆肥ができる

コンポストでできた堆肥は栄養満点です。そのため、ガーデニングや家庭菜園などの趣味をお持ちの人にもおすすめです。

自分の家から出た生ゴミで堆肥を作るので、新たに化学物質が入ることはありません。コンポストでできた堆肥を使って育てた野菜は、葉の部分も美味しく食べることができます。

ガーデニングも家庭菜園もされない人は、市町村のホームページを見てみましょう。自治体によっては堆肥の回収を行っている場合があります。ない場合は、可燃ゴミとして出すこともできます。

環境に優しい

環境に優しいのも、コンポストの魅力の一つです。

可燃ゴミは焼却処分されますが、その際に大量の二酸化炭素を排出します。しかし、コンポストで生ゴミが減ると家庭ゴミの総量も減ります。これは二酸化炭素の削減につながります。

家庭菜園やガーデニングをする人は肥料を買う手間が省けるため、移動や輸送時の二酸化炭素も削減できます。


どれがおすすめ?いろんな形のコンポスト

コンポストにはさまざまな種類があります。ライフスタイルや住居に合わせて選ぶのが良いです。

設置型コンポスト

設置型コンポストは、庭に設置するタイプのコンポストです。

庭の土を専用容器に入れ、その上に土を入れます。そこに毎日の生ゴミを投入していきます。コンポストがいっぱいになったら2〜3ヶ月熟成させます。

密閉できるフタがついているので、虫は発生しにくいです。落ち葉や雑草も入れられるので、庭掃除のゴミをそのまま捨てることもできます。

密閉型コンポスト

密閉できる容器に生ゴミと「ぼかし」を入れて発酵させます。ぼかしとは、米ぬかや発酵促進剤などです。容器の中の生ゴミは発酵するだけで分解はされません。発酵したら土に埋め、分解させて完了です。

定期的に混ぜる必要はありませんが、土に埋める作業が必要になります。

また密閉型コンポストは強い臭いが出ます。住宅密集地やアパート・マンションに住んでいる人は避けた方が良いでしょう。

ダンボールコンポスト

ダンボールコンポストは、ダンボールを容器として利用するコンポストです。

ダンボールに米ぬかや腐葉土を入れ、生ゴミを投入します。1ヶ月半〜2ヶ月ほど毎日生ゴミを投入してかき混ぜ、その後1ヶ月は発酵させて完了になります。

比較的コストを抑えることができるので、家にあるものでコンポストを始めたい人やコストを抑えたい人におすすめです。

ミミズコンポスト

ミミズコンポストはミミズの力を借りて生ゴミを分解するコンポストです。ミミズが生ゴミを食べ、その糞を微生物が分解して堆肥にします。ヨーロッパやオーストラリアで広く普及しています。

ミミズコンポストに使うのは、シマミミズやアンドレツリミミズなどツリミミズ科のミミズです。日本でよく見かけるのはフトミミズ科のミミズで、ツリミミズ科のミミズより繁殖力が劣ります。ミミズをコンポストに使用する際は、ネットなどでツリミミズ科のミミズを購入しましょう。

ミミズコンポストには臭いがない(土の香りがする)、毎日かき混ぜなくて良いなどのメリットがあります。しかしミミズは高温に弱いので、設置場所には注意が必要です。

バッグ型コンポスト

アパートやマンションに住んでいる人、室内でコンポストをしたい人ならバッグ型コンポストがおすすめです。

ローカルフードサイクリング株式会社のバッグ型コンポスト「LFCコンポスト」は基材の定期便があったり専用サポーターに質問できたりと初めてでも安心できる商品です。

LFCコンポストは、専用バッグに基材を入れて生ゴミを投入するコンポストです。バッグには虫の侵入を防ぎ、防水もできるファスナーがついています。バッグはお部屋の中に置いておけるおしゃれなデザインになっています。

公式サイト:LFCコンポスト


【体験】ダンボールコンポストを作ってみよう

今回はダンボールコンポストに挑戦してみました。なるべく家にあるもので準備しました。

ダンボールコンポストに必要な材料はこちら。

  • ダンボール(25~30L程度、みかんの箱など厚いものがおすすめです)
  • 中敷き用ダンボール(サイズに合わせてカットしました)
  • ガムテープ
  • 基材(腐葉土、米ぬか)
  • 新聞紙2日分
  • 不要になったシャツ(バスタオルなどでも対応可能)
  • ヒモ
  • スコップ

購入したのは腐葉土だけで、米ぬかは精米機から無料でもらってきました。あとは家にあるものだけです。

まずはダンボールを組み立てます。横のつなぎ目部分は虫が卵を産まないよう、ガムテープでしっかり塞ぎます。

底に中敷き用のダンボール、その上に新聞紙2日分を敷きます。今回は少し足りなかったので、宅配時に入っている紙を使いました。

次に基材を作ります。腐葉土と米ぬかを5:3の割合で入れ、よく混ぜます。私はスコップを使って混ぜましたが、手袋をはめて手で混ぜた方がやりやすいと感じました。

よく混ぜたら、生ゴミを投入します。キャベツの芯などの大きいものは、細かく刻んでから入れると早く分解されます。

入れる生ゴミの量は約500グラム/日です。生魚や生肉、生卵などタンパク質を大量に入れると、臭いが強くなる可能性があるので注意しましょう。

生ゴミを入れたらよく混ぜます。混ぜた際に生ゴミが表面に出ないよう深めに入れます。

ダンボールのふたをして、上から布(今回はシャツ)をかけてヒモで結びます。布は虫の侵入を防ぐためなので、バスタオルでも良いです。また通気性をよくするため、ダンボールは直置きせずにブロックなどで隙間を作ります。

ビニール袋でカバーするのはおすすめしません。ダンボール内が蒸れて微生物の活動が悪くなったり、ダンボールが劣化したりします。

基材の表面に白いカビが出ることがありますが、問題ありません。そのまま混ぜてしまいましょう。

参考:富士市「ダンボールコンポストの作り方」


制作から1ヶ月が経ちました。微生物の動きが活発になると、ダンボールの温度が高くなります。そのあたたかさを感じると「微生物が頑張ってる」と思えて嬉しくなりますよ。もう半月投入を続けたら、熟成に移ります。


地球に優しいコンポストを始めてみませんか?

あたたかくなると気になるのが、生ゴミの臭いです。しかしコンポストを始めてから生ゴミの量がぐっと減ったので、臭いが気にならなくなりました。またゴミ出しにいく回数も減っています。コンポストをはじめて早々に、その魅力に気がつきました。

コンポストは最初は少し手間ですが、習慣化してしまえば面倒とは感じません。作った堆肥は自分で使うだけでなく、回収されれば誰かの役に立つことができます。またお世話をしているようで、愛着もわきます。

環境にやさしいコンポスト。この機会にぜひ始めてみてはいかがでしょうか?


文:古賀瞳


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