海洋プラスチックから生まれるアクセサリーの魅力

海の汚染と生き物、人体への影響が懸念されている海洋プラスチックが、思いを持った人々の手で日常を華やかにするハンドメイドアクセサリーに生まれ変わっています。

海洋プラスチックとは?

海洋プラスチックとは、私たちの生活や経済活動で使われたプラスチックごみが適切に処分されず、海へと流出したものです。

近年では、魚の体内へのプラスチックの蓄積が話題となり、海洋生物への影響だけでなく、食物連鎖によって人間への影響にも懸念が寄せられるようになりました。


アクセサリーの素材として生まれ変わる海洋プラスチック

プラスチックによる海の汚染を解決する方法の一つに、海岸に漂着した海洋プラスチックを拾い集める海岸清掃活動があります。

拾い集めた海洋プラスチックは通常、そのままごみとして捨てられます。しかし、ごみとして捨てるのではなく、それを元の用途とはまったく別の形であるアクセサリーとして活かす取り組みがあるんです。


こちらは、マイクロプラスチックのアクセサリーブランドsobolonさんのアクセサリー素材の一つ。これにピアスやイヤリングなどの金具をとりつけることで、アクセサリーとして身に付けることができます。

ブルーやレッド、イエローなど何色かの海洋プラスチックのかけらを、レジンという樹脂の中に入れ、四角い形で成形しています。樹脂の中に入れると、艶やかでやわらかい雰囲気が感じられます。

かけらの形・色は、まったく同じものは一つとしてありません。そのため、すべて少しずつデザインが異なる一点ものです。

一つ一つ微妙にデザインが違って可愛らしく、どれにしようか、選ぶのに悩んでしまいそう。「海洋プラスチック」を使っていることを知らなくても、自然と手に取りたくなる魅力があります。

このsobolonさん以外にも、海洋プラスチックを使ったアクセサリーを作っているブランドはいくつかあります。

でもなぜ、海洋プラスチックがアクセサリーの素材として再活用されているのでしょうか。


「可愛い」という素直な気持ちが環境問題を意識するきっかけに

海洋プラスチックを再活用したものには、インテリア雑貨などの日用品もあります。日用品をエコやエシカルなものに置き換えるとき、「環境に配慮しているから」というのが動機の一つになるのではないでしょうか。

しかし、アクセサリーの場合はただデザインや見た目が「可愛いから」「素敵だから」という素直な気持ちも、手に取る大きな理由になっているはずです。

海洋プラスチックをアクセサリー素材として活用するメリットは、アクセサリーへの興味を入口にして、背景にある環境問題に触れられる点。

ふだんは環境問題をそれほど強く意識していない人でも、アクセサリーに興味があれば、自然な形で関心を持つことができます。

加えて、自分が気に入って選んだアクセサリーなら、すぐに使い捨てることなく、長く大切に使えそうです。

このような背景があり、海洋プラスチックを使ったアクセサリーが徐々に広がっていると考えられます。


海洋プラスチックアクセサリーができるまで

海洋プラスチックを使ったアクセサリーの作り方は、他のアクセサリーとどのように違うのでしょうか。いくつかのブランドに共通する工程をご紹介します。

1.海岸に漂着しているごみを回収する
  海洋プラスチックだけでなく、そのほかのごみも拾い集め浜辺をきれいにします。

2.海洋プラスチックを選別し、きれいに洗う
  素材として使えるものを選別し、汚れを落とします。
  ガラスや陶器のかけらを素材として使うブランドもあります。

3.色ごとに分類、大きなものは小さく加工
  かけらを色ごとに分け、大きなかけらは加工しやすいよう切ったり砕いたりします。

4.アクセサリー素材としてデザインや成形をする
  欠片をアイロンで伸ばして違う色同士をブレンドしたり、レジンで固めたりと様々な方法で活用します。作品によって多彩なアレンジ方法があります。


プラスチックの欠片同士を溶かして繋ぎ合わせた作品例

こちらはカエルデザインさんのアクセサリー。

アクセサリー素材として切り出した時に出る端材を、さらに溶かして成形し、写真のように丸や四角い形にカットしたものです。

ブルーやレッド、イエローなど多彩な色がマーブル状に溶け合い、まるで水彩画のような美しい模様となっています。


レジンで固めた作品例


こちらは「。TSUGU」さんのアクセサリーで、海洋プラスチックのかけらと他のアクセサリー素材を一緒にレジンで固めたものです。

同じ色同士で固めたり、着色したレジンで固めたりしていて、色鮮やかさが際立っています。あえて整った形にせず、天然石のような不定形な形にすることで、ハンドメイド作品ならではの特別感が感じられます


手間と思いの込もった制作

このように、アクセサリーが完成するまでの工程を見てみると、次のことが分かります。

ひとつは、プラスチックを素材として使えるようにするまでに、実に多くの手間暇がかかっていること。

もうひとつは、アクセサリーとして成形する工程で、偶然の形や色からなる素材をいかに取りこぼしなく活用するか、に心を砕いていること。

作り手の方たちの「環境問題を解決したい」という真摯な思いがあって初めて、生まれるアクセサリーだと言えるのではないでしょうか。


異なるアプローチを教えてくれる海洋プラスチックアクセサリー

「環境問題とハンドメイドアクセサリー」というと、初めて耳にする方にはちょっと意外に感じる組み合わせかもしれません。

しかし、今回ご紹介した海洋プラスチックを使ったアクセサリーは、「環境に優しい」という特徴にかかわらず、魅力的なハンドメイド作品です。

可愛らしくて「身に付けたい!」と手に取ったものが、たまたま「環境に優しい」ものであれば、さらに嬉しい気持ちになるはず。そんな素直な気持ちから環境問題に触れるきっかけが生まれたらいいですね。

エシカルで可愛く、一点ものという特別感が魅力の海洋プラスチックアクセサリー。暮らしを彩るアクセサリーの一つとして、一度手に取ってみませんか。


文:有馬 里美
写真:木村洋平


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