コロナ下でさまざまな「困りごと」が増加しています。ここでは、ひとまず「ここに相談できる」ところと、状況ごとの相談先一覧、相談のコツをできるだけシンプルにまとめました。(更新日:2021.1.10.)
この記事では、さまざまな相談先の一覧と相談のコツをまとめました。できるだけシンプルに、わかりやすくと心がけています。
* 生命や生存、生きることの尊重にかかわることがらは「エシカル」(倫理)です。この記事がいま困っているひと、将来に不安を抱えるひとの助けになることを願って。
1.「いま、とにかく困っている!」ひとへ
「どこに相談してよいかわからない」
「いますぐ、助けがほしい」
「自殺したくなっている……」
「困りごと」の種類を問わず、こういう気持ちの方は、ここに紹介する4つのどれかに相談することをおすすめします。
ぱっと目についたところ、つながったところに相談すればよいと思います。
▶ よりそいホットライン 0120-279-338
(岩手・宮城・福島からは 0120-279-226)
さまざまな悩みに応えています。
精神的な苦しみ、被災にかかわること、性にかかわること、女性の悩みなど。
▶ いのちの電話 0120-783-556
→ 都道府県ごとに個別の相談先もあります。こちらの一覧をご覧ください。
リンク先で、チャットが始まります。
「望まない孤独」の解消を目指し、若者の自殺、DV、児童虐待などの相談に応じています。
こちらに理事長の大空幸星さんの挨拶、目指す社会、団体概要がまとめられています。
▶ 生きづらびっと SNS, チャット相談
□ LINE相談 ID検索:@yorisoi-chat(生きづらびっと)
□ Twitter:@yorisoichat (DMで相談できます。)
□ よりそいチャット(ブラウザでチャット相談ができます。)
生きづらびっとは、SNSやチャットで自殺防止の相談をしています。必要に応じて対面の支援にもつないでくれます。
***
ひとまず、気になったところに相談してみてはいかがでしょう。
「いいえ、すぐ生死にかかわるという状況ではありません……」
「自殺したい、とまでは思っていない」
という方も、どうしてよいかわからなければ、連絡してみることをおすすめします。親切な応対を受けて「いったん落ち着く」ことができるかもしれません。
もっと具体的な状況に合わせた相談先をお探しの方は、このまま以下をご覧ください。
コラム:迷いがあるかもしれません。
しんどい時は電話ひとつかけるのも、勇気がいりますし、そこでうまくいかないと気持ちも落ち込みます。「もっと大変なひともいるんじゃないか……」と考え込んでしまうかもしれません。
けれど、やはり「ひとりで煮詰まってしまう」時は、外の世界につながることを諦めないことが大切だと感じます。
きっと相談に応じてくれるひとが見つかるでしょう。
どんな困りごとでも、一番のポイントは「相談することをためらわない」ことです。
もっとも、「言わなきゃ」とご自分を追いつめてしまいそうであれば、焦らなくてよいと思います。
このあと、記事は「6.相談前に「まずは情報を見たい」ひとへ」まで続きます。よかったら、ゆっくりご覧になってください。
2.高齢者にかかわる困りごと
ご自身が高齢(65歳以上)で生活に支障がある場合、
または、
高齢の両親や身近なひとの世話をするのに困った場合は、
「地域包括支援センター」に相談できます。
最寄りのセンターの探し方は、
「〇〇市(町村・区)」(高齢者の住んでいる自治体)×「地域包括支援センター」
で、Googleなどで検索することです。
・地域包括支援センターの設置は、法令で義務づけられていますので、全国の自治体にあります。
・自治体によっては「高齢者支援センター」など別の名称を使っています。
「地域包括支援センター」は、民間団体(NPOや福祉の法人)が運営していることが多いです。ベテランの支援者や研修を受けた相談員が、親切に応対してくれるものと思います。
ポイントは、最初に役所(県庁や市役所など)に問い合わせず、まず「地域包括支援センター」に相談することです。たしかに、役所には「高齢者支援課」といった担当課がありますし、Google等の検索でも上位に出ます。
ところが、すべてではないとしても、役所の対応は冷たいことが多いです。別の部署にかけ直すよう言われたり、結局は「地域包括支援センターに対応してもらってください」と言われて切られたりします。
こういう時、
「たらい回しにされた」
「次のところも冷たくあしらわれるのではないか……」
といった不安が生まれ、気持ちが落ちてしまう恐れがあります。
そこで、役所よりも先に「地域包括支援センター」に相談することをおすすめしたいです。
もちろん、法的なことや仕組みのうえで必要が生じた場合は、役所とやりとりしたらよいと思います。
なお、「年齢は高いけれど、65歳に満たない」といった場合も、地域包括支援センターに相談してみてもよいかもしれません。すぐには対応できないとしても、「今後、どこに相談するとよいか」を教えてくれるでしょう。
3.子ども(18歳未満)にかかわる困りごと
自分がいま18歳未満で困っているか、
親や保護者として子育ての支援がいる場合、
各地域の「子ども家庭支援センター」に電話するとよいでしょう。
* 虐待を、受けている/してしまった(かもしれない)/地域で見聞きした場合も、相談先は同じです。
ただし、虐待について相談先を分けている自治体もあります。よくわからなければ、まず「子ども家庭支援センター」に電話をかけてみてよいと思います。
最寄りのセンターの探し方は、
「〇〇市(町村・区)」(子どもの住んでいる自治体)×「子ども家庭支援センター」
で、Googleなどで検索することです。
・市町村レベルで見つからなければ、お住まいの「都道府県」で検索します。
・自治体によっては「児童家庭支援センター」など別の名称を使っています。
・運営は民間団体の場合もあれば、行政の場合もあります。
これも、「2.高齢者にかかわる困りごと」と同じように、役所の担当課より先に「子ども家庭支援センター」に相談する方がよいかもしれません。
4.生計(お金や住まい)にかかわること
「解雇されて、生計が立たない」
「仕事ができない」
「住まいを失うかも」
といった場合には、生活保護を検討するのがよいかと思います。
日本では、さまざまな困窮のセーフティネットが「生活保護」になっています。もちろん、各種の社会保障はあります(失業保険、傷病手当、障害年金など)から、それで解決できる場合もあるかと思います。
けれど、たとえば、
「お金がないが、実家を頼れない」
「シングル家庭で、子どもの生活もかかっている」
「自分が病気を抱えているか、精神的に追い詰められている」
「住所がない」
「住まいを失いそう」
といった場合は、生活保護を受けて、いったん生活を落ち着けた方がよいかもしれません。
判断に迷った時は、「1.「いま、とにかく困っている!」ひとへ」で紹介した「よりそいホットライン」や「あなたのいばしょ」などに相談するのもよいでしょう。
事前に情報を知りたい時は、生活保護に長年かかわってきた支援団体「もやい」のサイトを見ることもおすすめです。
また、「6.相談前に「まずは情報を見たい」ひとへ」(一番下↓)で紹介するサイトを見ることが助けになるかもしれません。
さて、生活保護の受け方について紹介します。
「生活保護」は、いまいる自治体の福祉事務所か役所で申請できます。
(いまいる自治体というのは、「住まいがある」「住民票がある」といった意味ではなく、現在地のことです。住所がなくても、生活保護は受けられます。)
なお、申請時に役所から厳しい対応、理不尽な対応(「水際作戦」と言われる)を受けるケースもあるようなので、「支援団体に事前に相談しておく」、または「申請する時、信頼できるひとに付き添ってもらう」ことができると心強いでしょう。
*「生活保護」の情報について
ネット上には、さまざまなネガティブな情報が飛び交っています。正しい/まちがいを問わず、Google等やSNSで検索し始めると、気がめいるかもしれません。信頼のできるひとや団体に電話・チャット等でたずね、支援者につながることが一番の近道だと思います。
5.女性へのサポート
いまの社会では、DVやセクハラにかぎらず、親子関係や家事、就業においても、男性より女性に困難や悩みが降りかかる傾向が強いといえます。
(日本のジェンダーギャップ指数は世界で見ても、かなり高いです。)
女性の相談先として都内であれば、東京ウィメンズプラザをおすすめします。
(なお、ウィメンズプラザでは、DVを受けた男性からの相談も受けつけています。)
ただし、相談には「東京に在住・在勤・在学」が条件とされています。
相談窓口は、以下のふたつに分かれています。
1.パートナーからの暴力について相談
2.夫婦・親子、生き方、職場の人間関係などについての相談
(それぞれの電話番号は、リンク先でお確かめください。)
DV相談ナビ #8008(電話)
全国区では、内閣府が運用する「DV相談ナビ」「DV相談+(プラス)」があります。
DV相談ナビは、全国共通で #8008 に電話をかけてDV(ドメスティック・バイオレンス。親しい間柄での暴力、暴言、理不尽な行為など)について相談できるものです。
*若いひとは、「#」ボタンを知らないかもしれません。「シャープ」と呼ばれるボタンで、「8008」の前にこれを押します。インスタのハッシュタグと同じ記号ですね。
(写真、右下のボタン↓)
DV相談ナビ+(プラス)では、電話、メール(24時間受付)、チャット(12時〜22時)での相談を受けつけています。
電話:0120-279-889(24時間受付)
* メールとチャットはリンク先からアクセスできます。
女性の人権ホットライン 0570-070-810
「女性の人権ホットライン」では、幅広い問題について相談できます。
法務省が設置しており、「配偶者やパートナーからの暴力、職場等におけるセクシュアル・ハラスメント、ストーカー行為といった女性をめぐる様々な人権問題」に応対しています。
「女性の人権ホットライン」では、こちらからインターネット相談もできます。
「女性の人権」にかかわる問題は幅広いですが、こちらのサイト(政府広報)にまとまった情報があります。
「自分の困りごとは当てはまるのかな?」
と迷ったら、ご覧になってみてください。
6.相談前に「まずは情報を見たい」ひとへ
ここでは、ふたつのサイトをご紹介 & おすすめします。
どちらもフリーワードの検索窓(サイト内検索)があります。ともに領域を横断して情報が充実したサイトですので、ご自身の困りごとや症状に合った記事を探してみてください。
NHKハートネットは福祉に関する総合サイトです。
Soar(ソア)は、NPO法人の運営するサイトであり、さまざまな声と情報を提供しています。
代表の工藤さんが、「Soar は情報のセーフティネットを目指す」と宣言していたことが印象的です。
Soar の特徴としては、困難を抱えている当事者に直接、取材した記事が多いことです。当事者の「声」が聞けます。また、2020年の年始にサイトがリニューアルされており、視聴覚に障害や困難のある方にも配慮された設計になっています。(リニューアル方針については、こちらのnoteをごご覧ください。)
まとめ
相談先と相談のコツを紹介してきましたが、お役に立てたでしょうか。相談は、どんな形であれ勇気がいるものと思います。
筆者は、20代の半ばに精神的な不調を抱えて、「いのちの電話」にかけ、地域にある心療内科を紹介してもらったことがあります。それをきっかけに、よい方に向かいました。
その時は、希死念慮もなかったので、「本当に私が「いのちの電話」にかけてよいのだろうか?」と不安もあったのですが、かけてよかったと思います。
いまは、SNSも含め、情報がたくさんあるなかで、「正しい/誤り」や「事実/作りごと」といった分け方よりも、「それを読んで安心感が得られるか」「それをもとに次の一歩を踏み出せるか」が重要なのではないかと考えます。
自分に合った発信元やひとに巡り会えるとよいですね。
もちろん、「正しい」「事実」である情報の方がよいですし、誰もがリテラシーを持っていたらよいことですが、根っこでは「信頼できるひとがいる」という感覚が一番、大切ではないかと感じます。
みなさまと、みなさまのご友人、ご家族、身近なひとが少しでもよい道を見つけられることを願っています。
(すべてのURLの情報取得日は 2021年1月10日)
* 各団体、行政の情報などに誤りがあった場合は、お手数をおかけして申し訳ありませんが、ご一報いただけると幸いです。(こちらのフォームからよろしくお願いいたします。)
文:木村洋平
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