乾物をうまく使おう

乾物は長く保存できて、栄養もあって、おいしいです。フードロスも減らしやすく、エコな食材です。

干ししいたけとあみえびオキアミ
干ししいたけとあみえび

ふだんの料理で乾物(かんぶつ)を使っているでしょうか。野菜や海の幸などを乾燥させ、水分をなくすと乾物ができます。

有名な乾物としては、昆布、ひじき、干ししいたけ、切干し大根、高野豆腐(こうやどうふ)、のり、ワカメ、煮干しなどがあります。


乾物のよいところ

乾物にはいろいろなよいところがあります。

  • 長く保存できる:乾物は水分を抜いているため、腐敗やカビが発生しにくくなっています。そのため、常温で何ヶ月も保存できるものが多くあります。非常食や備蓄にもぴったりです。
  • 栄養価が高いものも:乾燥させるときに栄養素がぎゅっと凝縮(ぎょうしゅく)され、栄養価が高くなることがあります。たとえば、切り干し大根はなまの大根よりカルシウムや鉄分がゆたかです。
  • うまみが出る:うまみも凝縮されます。たとえば、干ししいたけには独特の風味があり、出汁(だし)をとるのにもよいです。

このように、乾物は長く保存できて、栄養もあって、おいしいのです。

参考:乾物(農林水産省
干し椎茸の栄養素・栄養成分(姫野一郎商店)
昆布の効能(こんぶネット)


エコで健康によい乾物

乾物はエコな食材といえます。

なぜなら、まず常温で保存できるので、冷蔵や冷凍のための電気がいりません。生鮮食品(なまの野菜や果物など)にくらべて、長持ちするので使い切れなくて捨てることも少ないでしょう。フードロスが出にくいです。

* ただし、気候変動によって夏はより蒸し暑くなっています。「常温」といっても「高温多湿をさけて保存」する方がよいので、冷蔵庫を使うのもよいです。また開封後は冷蔵保存がよい場合もあります。

また、乾物を使う生活は健康にもよさそうです。

たとえば、昆布と干ししいたけを一晩、水に漬けておくと出汁がとれます。それで味噌汁や煮物をつくると香りもとてもよいのですが、実は健康にもよい効果があります。干ししいたけには食物繊維やビタミンDがふくまれ、おなかによく、骨を丈夫にし、免疫力も高まるといわれます。昆布にはカルシウム、鉄分、カリウム、ヨウ素などのミネラルがふくまれます。ミネラルは骨や血液をつくり、神経やホルモンの作用を安定させます。

ひとつひとつ、こういった栄養や効果を覚える必要はないと思うのですが、乾物をいくつか家に置いておき、てきとうに使うことで、日々の食事をより健康でおいしいものにできるでしょう。


どんな乾物が好き?

自分の好みの乾物を見つけると、使うのが楽しくなります。

たとえば、あみえび(オキアミ)は、ふりかけにしたりパスタに混ぜたりと色々に使えます。目玉焼きに添えたり、味噌汁に入れてもOKです。香りがよく、カルシウムもとれます。(一番上の写真・右)

乾燥しじみ
乾燥しじみ

乾物のしじみはお酒のつまみにもなります。料理にも使えますし、非常食やアウトドアにもよいでしょう。

かつおぶしは出汁もとれますし、ごはんにかけてもおいしいです。手軽に使えます。ちなみに、アラスカの写真で有名な冒険家の星野道夫は、かつおぶしをよく携帯して食べていたといいます。

ご自分の生活スタイルに合わせて、好みの乾物を用意しておくと生活がゆたかになりそうです。


まとめ

乾物は長く保存できて、栄養もあって、おいしいです。フードロスも減らしやすく、エコです。こうした乾物を使いこなせば、きっと私たちが生きのびるための役にも立つでしょう。

物価高や気候変動による不作で、私たちの食料をめぐる状況はきびしくなってきています。生鮮食品の買い物は、どうしてもその時々の価格や出来のよしあしの影響を受けます。しかし、乾物であれば、3ヶ月〜6ヶ月ほど保存できるものが多くあるので、自分でよいと思ったときにまとめて買っておくことができます。

エシカルは生活から世界を見ることです。エシカルはただ他者や環境に気を配っているだけではなく、全体を見る目を養うことで、自分の生活をレジリエント(柔軟で適応力がある)にし、すこやかに自由に生きていくことを助けてくれます。


文・写真:木村洋平