対話でよりよい社会をつくる! 「社会対話」のススメ

「社会を考える対話カフェ(社会対話)」は、社会や政治のことを気がねなく話せる集まりです。「社会をよくしたい」と考える人が安心して話せる場をつくりたいという思いで活動しています。

コーヒーとポットのあるテーブルカフェ風

みなさんはふだん学校や会社、家庭などで、社会や政治の話をすることがありますか。

「野球と政治と宗教の話はタブー」なんていう言葉もあるように、社会問題や政治的な話は友人や同僚とはもちろん、家族ともほとんど話さないという方が多いのではないでしょうか。そのような日本の風潮のなかで、安心して社会や政治のことを話すことができる場をつくる試みが「社会を考える対話カフェ(社会対話)」です。


社会を考える対話カフェ(社会対話)

筆者は2021年に友人2名と「社会対話」を立ち上げました。新型コロナウイルス禍だったため、記念すべき第1回目はオンライン(Zoom)でおこないました。それからは月1回のペースで開催しています。これまではオンラインが主でしたが、だんだんに都内での対面開催も増やしていく予定です。参加者は8〜10名程度で、高校生、社会人、引退後の方まで幅広く、海外からの参加もありました。


社会・政治の話はタブー?

日本では社会問題や政治の話をすると、「意識高い系」と揶揄されたり、特定の政治思想を持っている「危ない人」と思われたりしがちです(もちろん、特定の政治思想を持っていたり、政党に属していたりしても本来はまったく問題ないのですが、日本ではそれが特殊なこととして偏見を持たれることがあります)。そのため、多くの人はそういう話題をうかつに口にすることをさけます。

そのことが政治への無関心を助長し、低投票率を招いています。さらに「自分たちが何をしても政治や社会は変わらない」というあきらめを生んでいます。子どものうちから、身近な社会のことや世界のさまざまな問題などについて気軽に話すことで、社会への関心が養われます。また、意見の異なる人と話すことで民主主義の豊かな土壌も培われていくでしょう。

一方、SNSでは日々いろいろな意見交換がされているように思えます。しかし、マイノリティに対して「わがまま」や「特権」だと叩くような投稿やヘイトスピーチも目につきます。匿名性の高いSNSは、さまざまな立場の人が安心して議論を交わせるような場になっていません。


安心して話ができる場を

「社会対話」は2021年1月に、社会や政治の話を気軽にすることができる場としてスタートしました。第1回目は、「社会や政治のことを気軽に話せるようになるにはどうしたらよいか?」というテーマでおこないました。以降、おおよそ月1回のペースで開催され、2024年3月までに32回開かれています。 

社会対話が大事にしている価値観は「すべての人の人権の尊重」です。すべての人の人権が尊重される社会がよい社会と考え、この社会に対するビジョンを確認したうえで、建設的な議論ができるように心がけています。対話の方法自体にはルールを設けず、ふだんの会話と同じように話すということにしていますが、この価値観をベースに対話をすることで、安心して話すことができていると感じています。


社会対話で何を話すか

これまでの社会対話で取り上げたテーマの一部を紹介します。

  • 「もうやめた!自己責任~他者と自分にやさしい社会をつくるには?」
  • 「「いい感じ」の共同体って?~助け合いvs.息苦しさ」
  • 「オリンピックの光と影」
  • 「食のこだわり、聞かせてください」
  • 「身近なところからエネルギー問題を考える」
  • 「ケア~誰が担うのか」
  • 「ルッキズム・エイジズムを考える」
  • 「社会にアクション~いろんな取り組みを紹介しよう」

こういった対話のほか、2022年7月10日には、同日行われた参院選の開票速報をみながら話したり、折々に時事放談的に各自の気になるニュースについて話したり、年末に参加者で今年の重要ニュースを振り返りながら雑談したりしました。また対話以外にも、中野で0円ショップ(無料のフリーマーケット)をおこないました。


社会対話がめざすもの

私たちの取り組みはとても小さなものですが、「社会をよくしたい」と思っている人同士が集まってざっくばらんに話すことで、各人が勇気づけられたり、社会を変える力のもとを得ることができます。そこから、それぞれの住む地域や職場で社会をよくするためのちょっとした取り組みを行っていくような、そんな広がりを期待しています。

ぜひ、みなさんも気軽に参加してみてください。

*「社会を考える対話カフェ(社会対話)」Xアカウント:@shaka_taiwa


文:長谷川絵里