誰もが立ち寄れる場所をつくる(いとと色いろ yayoiさん)

アーティストや地域のひとが気軽に立ち寄り、イベントや作品の展示・販売ができるお店「いとと色いろ」を取材しました。

いとと色いろお店の玄関
お店の玄関

「いとと色いろ」はアーティストをはじめ、なにかにチャレンジしたいひとが活動できる場所であり、作品の展示や販売もできます。また、地域のひとが気軽にあそびに来られるお店でもあります。そんな「いとと色いろ」を立ち上げて運営するyayoiさんにお話をうかがいました。

いとと色いろのyayoiさん。撮影:北村知宏
yayoiさん 撮影:北村知宏

はじめは自分のためのアトリエとして

yayoiさんは、刺繍(ししゅう)や布と糸を使って色々なものを手作りする作家さんです。ぬいぐるみ、絵柄のあるかばん、タペストリー…そういう風にジャンル分けをしてよいのかはわかりませんが、いろいろなものを作っています。

お店「いとと色いろ」も、はじめは自分のためのアトリエとして借りたそうです。けれど、「自分一人の場所にするのではなく、誰でも来られる場所にしたい」「アーティストや作家さん、なにかに挑戦したいひとが場所がほしいと思ったとき、ここを貸したい」という思いがわきました。そうして、今のようなアトリエ、カフェ、ギャラリー、コミュニティ・スペースをひとつにしたような場所に育っていきました。

「アーティスト・ラン」というヒント

アトリエを開放しようと思ったとき、「アーティスト・ラン・スペース」という言葉もヒントになりました。アーティスト・ラン・スペースとは、「作家さんが自分で走れる場所」というような意味で、アーティスト自身が自分をプロデュースできる施設を指します。

アーティスト・ラン・スペースでは、昔からある画廊・ギャラリーとはちがったかたちでアーティストが活動したり、まわりが応援したりできます。

「いとと色いろ」を「アーティスト・ラン・スペース」とくくって説明してしまってよいのかはわかりませんが、yayoiさんには作家さんや独自の活動を立ち上げる人を応援したい、という気持ちがずっとあるといいます。

カフェと本棚。誰でも立ち寄れる場所へ

「いとと色いろ」はカフェでもあります。カウンター席とテーブル席があり、誰でもくつろいで飲食ができます。お店では yayoiさんにダーニング(補修、つくろい)をお願いするお客さまやここで出店するアーティストがおしゃべりをすることもあります。

メニューには特別なブレンドのコーヒーや特製ドリンク、体が温まるスパイスたっぷりのカレーや自家製ケーキがあります。

また、「いとと色いろ」は「きんじょの本棚」という企画にも参加しています。yayoiさんが自分の本を本棚に置いて、誰でも読めるようにしています。一部の本は持ち帰って読み、「きんじょの本棚」に参加しているお店や施設であれば、どこへでも返せます。

こういうお店のあり方になったのは、yayoiさんがつちかってきたスキルや経験を集めたからです。yayoiさんが調理師の仕事を長くしてきたこと、保育士や産前産後のケアの仕事をしてきたことから、「誰でも立ち寄れる場所を作りたい」「孤育て」(孤独な子育て)をしている方が気軽にあそびに来られる場所になればうれしい」という思いがありました。

これからのいとと色いろ

これからのいとと色いろの展開について聞いてみました。

yayoiさん「形式にはこだわらずにやっていこうと思います。日々、試行錯誤しながら、自分の「楽しい」「ワクワク」を大切に活動していきたいです。もともと見切り発車で始めたお店ですが、運営してみてわかったことがあります。

こういう場所で、自然にひととひとのつながりが生まれること。お店を始めた当初はあまり想像していなかったことなので、驚きと喜びを感じました。それから、お客さまからのふとした情報やアドバイスのなかで、少しでもピンと来たことは自分から動いてみると、新たな発見やつながりができます。

たしかに、お店として運営していると、ときとして形式にはまらなきゃいけないような気になることがありますし、自分の一番大切な想いである「作品を作り続けたい」ということを忘れそうになってしまうこともあります。

けれど、いとと色いろをつくるきっかけになった想いを一番大切にしながら続けていけたらと思います。」

ちなみに、「いとと色いろ」の「いと」という言葉には、糸、意図、eat(食べる)といった意味が込められているそうです。

yayoiさんは、いとと色いろのほかにも仕事を持っています。いとと色いろは金・土・日・月の12:00-19:00頃にオープンしていることが多いのですが、不定期です。開店の状況は Instagram で発信されています。

今回、お話を聞いて感じたのは、自分らしく、無理をせず、楽しく初めにあった気持ちを大事にしていくことが、こうしたお店や兼業を続けることのコツなのではないかということです。


いとと色いろ
東京都町田市森野3-4-7(小田急町田駅北口より徒歩15分)
Instagram:ito.to.iroiro


取材・文:木村洋平
写真:北村友宏、木村洋平