東京・町田に開店したDog cafe aloha ilio(ドッグカフェ アロハ イーリオ)はハワイアンカフェであり、保護犬を里親につなぐ拠点でもあります。
Dog cafe aloha ilio(ドッグカフェ アロハ イーリオ)は、2022年7月に町田市本町田(東京)に開業したハワイアンカフェです。彩り豊かなフルーツを使ったスイーツや、ボリュームのあるハンバーガー、ハワイ風のメニューを提供しています。
また、保護犬のいるカフェとして、保護した犬を里親とマッチングする活動もしています。チーフの最首美沙紀(さいしゅ みさき)さんにお話を伺いました。
──インタビュアー(木村):アロハ イーリオはどのようなカフェですか。
いつか保護犬が居なくなる未来を夢見て作った、優しさが詰まったハワイアンドッグカフェです。和歌山県の保護団体Wan life(ワンライフ)が運営しており、保護犬の里親探しの拠点でもあります。
すでに犬を飼われている方の憩いの場、犬を好きな方がのんびりと過ごせるカフェでありたいと考えています。
なぜハワイアンなのかというと、単純にハワイが好きなのもありますが、お客様に海外へ旅行に行った時のような、非現実なワクワクを感じて頂きたくこのような店構えになりました。
店内のディスプレイでは、いつも里親を探しているワンちゃんたちを映しています。カフェの2階で過ごしている子たち(保護犬)に関しては、言っていただければ店内のスペースに運んできて、実際に顔合わせをすることもできます。
──保護犬はどういう事情で保護されるのでしょうか。
ブリーダー崩壊、廃業、飼育放棄された犬、個人による多頭飼育崩壊、または保健所に持ち込まれた犬を救助しています。そういったさまざまな理由で行き場のなくなった犬を、私たちが引き取って保護し、里親につないでいます。
そういう犬は以前は、殺処分されることがほとんどでした。Wan lifeではこういった活動をボランティアとして、続けています。
最近では、アニマルウェルフェア(動物愛護・動物福祉)という言葉もよく使われるようになりました。犬や猫を人間の勝手な振る舞いから守る社会的な動きですね。
──どういった思いや経緯で起業されたのですか。
私は、物心ついた頃から常に犬といっしょに生活してきました。大人になり、10年ほど美容師をしていましたが、その間も、母がWan lifeの保護犬活動をしていたので、家で預かっている犬を散歩させる、世話するといったことは日常的にしていました。
保護犬の預かりボランティアの手伝いをしてきたなかで、人の手によって心身ともに傷を負ったたくさんの動物たちを見てきました。
今回のカフェの経営母体でもある保護団体Wan lifeが、東京に活動拠点となるドッグカフェを作ろうという話を聞いた時、動物愛護のもっと深いところへ私自身が踏み込むべき時が来たな、と思いました。
それで家族でアロハ イーリオを起業しました。母がマネージャーとして、Wan lifeの活動とカフェをつないでくれています。私はチーフという立場で、このお店を預かる「店長」の役割に近いです。
──アニマルウェルフェアは世界的にも推進されていますね。
私自身、幼い頃から犬が家族の一員であり、苦楽をともにし、愛し愛される関係でいることが当たり前でした。
しかし、日本の社会では、酷い環境でブリーディング(ペット用の飼育)がおこなわれることもあります。まともに世話をしてもらえず生き地獄を味わう犬もいれば、個人の飼い主が飼育崩壊をおこし、餌すらもらえず餓死する犬などもまだまだたくさんいます。
売れ残りや不良品と呼ばれ処分されたり、なんの罪もない命が人によって奪われたりする現実があります。
「可愛い」の裏にある現実に目を背けてはいけないと感じます。人間のエゴでペットとして生を受けた動物達が人間から苦しみを与えられることはあってはならない、と考えています。
そんななかで、アロハ イーリオ開業のお話をいただけたのは私にとって、犬と人間のあり方の理想へと向かう第一歩になりました。
──今後、どんなカフェにしていきたいと考えていますか。
アロハ イーリオが、この地域に根ざした場所になるといいなと思っています。
保護犬の活動として社会貢献をしながら、カフェとして「みんながにこやかに楽しめるカフェ」「地域の人や、動物を好きな人がくつろいで交流できる場」を目指しています。
保護犬の活動では、一匹一匹の世話を丁寧にしますので、時間も労力も必要です。ですから、すぐに社会的に大きな効果が見込めるわけではありません。
でも、そうやって手間暇と愛情をかけることが、カフェのお客さまや里親になってくれる一人ひとりに、「動物とともに生きていこう」という気持ちとして伝わっていくといいなと考えています。
公式ホームページ
Dog cafe aloha ilio (ドッグカフェ アロハ イーリオ)
Wan life(ワンライフ)
取材/写真/文:木村洋平
写真:Wan life
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