「エシカル」とはなにか?──イチから知る、考える

「エシカル」とはなんでしょう? 聞いたことはあっても、いざ言葉で説明しようとすると難しいというひとも多いかもしれません。

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「エシカル」という言葉は、いまだんだんと世の中に浸透していると感じます。ニュースや街で見かけることも増えました。この記事ではいろいろな定義を見比べながら解説します。

エシカルとは、かんたんに言えば「ひとや環境にやさしい」ことを指します。「エシカルを初めて聞く」という方には、ざっくりそんな風に説明することが多いです。

「じゃあ、エコとどうちがうの?」

そういった質問も浮かぶかと思います。

「エコ」は「エコロジー」(生態学)に由来する言葉で、いまは「自然環境にやさしい」といった意味で使われます。「エシカル」も似ているのですが、もっと広く「ひととしてどう行動するか」を問います。「ひとや環境など、いろいろなことに配慮しながら、よりよく生きていこう」とするのがエシカルです。


さて、そんな「エシカル」はどこから始まったのでしょう。

歴史を振り返ると、「エシカル」は1990年前後にイギリスで生まれたと言われます。もともと“Ethical Consumption” (エシカル消費)を指しており、略して「エシカル」として日本では定着しました。この点、エシカルは「消費行動」を指す言葉であり、たとえば、オーガニックな食品や服を買う、フェアトレード認証をもつ製品を買うことが「エシカル消費」の代表例です。

そこから、「エシカル」という言葉は少しずつ意味を広げてきました。いまでは「エシカルな企業」「エシカル就活」といった言い方もされます。それらに共通する考え方はなんなのでしょうか。


以下、日本における「エシカル」の定義を見比べてみましょう。

はじめに、私たちは「エシカル」という言葉を「ひと、環境、社会、地域、文化に配慮したライフスタイルを作ること」であると考えています。エシカルは「いろいろなことに配慮」しますが、そこに「文化」を入れているのは独自色かもしれません。

エシカル協会は、エシカルとは「影響をしっかりと考える」(ホームページの表記では「エいきょうをシっかりとカんがえル」)ことだと、キャッチフレーズ風に表現しています。つまり、私たちの購買活動によって世界のどこにどんな影響が出るか、よく考えることが大切だという趣旨です。より具体的には「人、地球環境、社会、地域」に配慮した考え方や行動を指すと書いています。

ほかに、消費者庁のサイトでは、エシカル消費は「環境、社会、人、地域、生物多様性」に配慮することであると説明されています。また、SDGs(国連持続可能な開発目標)の目標12「つくる責任 つかう責任」と関連づけられています。これには政府がSDGsを推進しているという事情もあるかと思います。

日本エシカル推進協議会は、気候変動に注目し、地球環境と社会の持続可能性のために一人ひとりができることは「エシカル消費」であると考えています。「気候変動」や「持続可能性」をキーワードとしているところに特徴があるといえます。


このように「エシカル」の定義は共通する部分もありながら、それぞれ重点の置き方にちがいもあります。今後も「エシカル」という言葉は、ひとによって、時代によって捉え方が変わってゆくでしょう。


エシカルSTORYでは、「倫理的」(ethical)という言葉を原点に、迷ったらいつもここへ立ち返ります。「倫理」というのはわかりやすく言えば、「よりよく生きようとする」ことです。「よりよく生きる」とはどういうことか、みずからに問いかけ、それに答えていくことが「エシカル」だと思います。

ただ一つの「正解」を探すのではない仕方で、「エシカル」とかかわっていくことが大切かもしれません。

環境に配慮した服パタゴニアの製品


文/写真:木村洋平


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