毎年5月は「フェアトレード月間」。これを機に「フェアトレードってなに?」を基礎から考えてみませんか。それはサステナブルやエシカルとじかに結びついていることがわかります。
フェアトレードの一般的な理解
フェアトレードとは「公平な貿易」という意味です。生産者の手間、時間、技術に対して適正な対価を支払う貿易、買い物のことです。5月はフェアトレード月間です。
スーパーや雑貨店、フェアトレードの専門店で少しこだわったコーヒーやチョコレートを見かけることがあります。たとえば、ピープルツリー(People Tree)のチョコレートは有名です。
* ピープルツリーはフェアトレードを専門とするブランド。1995年に設立され、早い時期からフェアトレードのビジネスを推進しています。
コーヒーやチョコレートほかにも、洋服や雑貨、アクセサリーなど、どこかゆとりのある民族調の商品が扱われていることが多いです。
こうしたフェアトレード商品は途上国の生産者によって手間と時間をかけて、またしっかりした技術を身につけて作られた商品です。買う側も、長く愛着をもって使えるでしょう。
フェアトレードの背景
フェアトレードが切実に必要とされた背景に目を向けてみましょう。
たとえば、ファッションのなかには「ファストファッション」と呼ばれる価格を低くおさえた衣服があります。その背景には、途上国の綿花畑で児童労働がおこなわれ、多くの農薬が散布され、働き手が肺や皮膚を痛めるといった状況もありました。また、「ラナプラザの悲劇」と呼ばれる事故をきっかけに、縫製工場の過酷な労働が問題にされました。
* ラナプラザの事故についてはこちらの記事などをご参考にしてください。
コーヒー農園やカカオ農場(チョコレートの原料)でも、先進国と途上国の格差が問題になります。
フェアトレード商品の買い物を心がけることは、こうした状況をやわらげる手助けになります。
「買うことは投票すること」
フェアトレードやエシカルの文脈でよく聞かれるのは、「買うことは投票すること」という言い方です。20年以上にわたって日本でフェアトレードショップを展開してきたシサム工房のホームページには、
「お買い物とはどんな社会に一票を投じるかということ。」
“What you buy is what you vote.”
という言葉が掲げられています。
私たちが、なにをどのように買うか、ということが生産・流通・販売の全体に影響を与えるということです。私たちの買い物が、社会の形を作り続けています。
エシカル協会の代表、末吉里花さんは、自著『はじめてのエシカル』のなかで、同じことをこう述べています。
「買って応援したり意思表示したりすることが、エシカルの神髄だと私は思っています。」
『はじめてのエシカル』p.107
「エシカル」という言葉にはさまざまな意味がありますが、その原点は「エシカル消費」です。フェアトレードに思いを馳せ、エシカルな買い物をすることはよりよい未来を作る一歩になります。
文/写真:木村洋平
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