未来を思い描く力──こんまりさんの片付けとSDGs

私たちの日常の延長に、政府や企業の「サステナビリティ」もあります。オフィスのデスクを片付けることと、SDGsのバックキャスティング思考に共通する「未来を思い描く」力とは?

カラフルで花や鳥が描かれたイラスト


幸せな未来を思い描くことは大切です。

今回は、「未来を思い描く」力が、デスク周りの片付けから、地球を良くするSDGsにまで通じるという話をしてみます。


デスク周りは片付いていますか?

さて、『Joy at Work 片づけでときめく働き方を手に入れる』という本があります。これは「ときめく片付け」で有名なこんまりさんが、オフィスのデスク周りを片付ける方法を教えた本です。


『Joy at Work 片づけでときめく働き方を手に入れる』近藤麻理恵、スコット・ソネンシェイン (著)古草秀子(訳)河出書房新社, 2020

ごちゃごちゃした部屋のイラスト
リモートではたらく時のデスク周り


そのなかに印象的な話がありました。

まずは片付けをする前に、「自分にとって、ときめく働き方はどんなものか?」「仕事をする上で、大切にしたい価値観は何なのか?」と問いかけてみましょう。

『Joy at Work 片づけでときめく働き方を手に入れる』 p.48

こんまりさんが、たくさんの片付けコンサルタントをするなかで気がついたのは、「理想のワークスタイル」を最初に思い描いたひとは、片付けをした後、デスク周りがずっと綺麗なままだそうです。

一方、手当り次第に「なんとなく」で片付けたひとは、リバウンドしやすいといいます。

筆者も、去年、デスク周りを片付けてみたのですが、「毎朝、こういうデスクに向かうと気持ちがよいだろうな」と思い描いてみました。「シンプルな状態だけれど、紙のカレンダーと気に入ったポストカードが1枚、置いてあるのはよいかな」と考えました。実際、半年以上、その状態をキープできています。


未来を思い描く」力は役に立つ

こんな風に「未来を思い描く」力は、実はいろいろな場面で役に立つと思います。

人間関係でも、たとえば「親とは少し距離を置いた方が、お互いにストレスがない」と考えて、連絡のスタイルを提案してみるとか、いっしょに仕事するひとに「返信は平日の日中にします」「Zoomは基本、ビデオオフでお願いします」と伝えるといったことは日常のなかでできます。


「未来を思い描く」のは、考えるのに時間がかかりますが、結局は良い状態が長続きするように思います。

逆に、「減点方式」で、他人にその都度のダメ出しばかり思いついてしまうと、気分がトゲトゲしますし、めぐりめぐって自分のミスやできなさを責めてしまい、落ち込んだりもしないでしょうか?

ロボットとロケットのイラスト
未来を思い描く


SDGsとバックキャスティングの思考法

こんな日常の話の延長にあるのが、実はSDGsと「バックキャスティング」の思考法です。

SDGsは国連で定められた目標で、「2030年の地球をこんな状態にしよう」という理想の姿を描いたものといえます。

そのSDGsに関連してよく聞かれるようになった言葉に「バックキャスティング」があります。こういう言葉が出てくると、正直、「横文字やカタカナが多すぎないですか…?」とげんなりしてしまうひとも多いかもしれません。

たしかにそうなのですが、かんたんに言うと、さっきの片付けと同じで、「よりよい状態を思い描いて、その実現に向けて、いま行動しましょう」というのがバックキャスティングです。SDGsという「よりよい状態」のために、「じゃあ、いまできることはなに?」と考えるわけです。

事業で言えば、「ヴィジョンや理念を、最初にきちんと考えよう。それを実現するために、今から行動計画を立てよう」といった感じでしょうか。意外と、言っていることはシンプルです。


まとめ

サステナビリティやSDGsについて「日常に引きつけて」「身近に」考えていくことは大切ではないかと考えています。

横文字やカタカナの多いエシカル、サステナブルの世界ですが、みんなで伝え方を工夫して広めていきたいですね。


文:木村洋平

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