「着なくなった服を捨てない」──エシカルファッションを発信する学生団体 carutena

今回は、エシカルファッションにかかわる学生団体 carutena(カルテナ)さんをご紹介します。carutena は「服を捨てないという新しい選択肢を提供する」ために古着のアップサイクル、リメイクをして販売しています。そのメンバー3人に事業のコンセプトや事業を始めたきっかけについて伺いました。

取材日:2020年8月30日

carutena(カルテナ)のメンバー5人
carutena のメンバー

carutena(カルテナ)の共同代表 haruna(はるな)kanna(かんな)、そしてジェネラルマネージャーを務める sayo(さよ)の3人が同時にインタビューに応じてくれました。


──インタビュアー(木村):carutena の事業をひと言で表すとなんでしょうか。

haruna:「服を捨てないという新しい選択肢を提供する」ことです。私たちは、古着をアップサイクル(* 付加価値をつけてリサイクルすること)したり、リメイク(作り直し)したりして新しい商品を生み出す事業をしています。いまは鞄がメインの商品です。


──販売サイトを拝見すると、トートバッグが多いですね。

kanna:carutena(カルテナ)という名前の由来は、トートバッグを意味するスペイン語の「カルテーラ」です。ジェンダーレスを意識したトートバッグを作りたいと思っていました。

トートバッグが映える

──事業を始めたきっかけはなんでしたか。おひとりずつ伺ってもよいでしょうか。

kanna:以前、アパレルのバイトをしていて、「セールの商品は終わると倉庫に流す」と社員さんに言われました。ここでファッション業界の大量廃棄の問題に気づきます。大量廃棄をなくしたい。でも、私も断捨離が好きなので、「ああ、私も大量廃棄にかかわっているかな」と自覚しました。それで、リメイクをしようと考えました。

haruna:私はもともとファッションが好きでした。ところが、ある時、服の廃棄問題を大学の授業で学びました。私たちのファッションは人権侵害や環境破壊のうえに成り立っていると知って、憤りを感じました。それがきっかけで carutena を始めました。

sayo:大学に入った後、環境問題の視点から服の重要性を感じました。大学のプログラムでコートジボワール(アフリカ)に行ったのですが、食べ物はおいしいし、歌は楽しい、洋服も素敵でした。ただ、一般にはまだアフリカにはマイナスのイメージがあるかと思います。砂漠と飢餓、支援したい、というような。それをプラスに変えられたら、と思って活動しています。そんななかで、ひとつの社会課題に carutena で取り組めたら、その成果をほかの課題にも応用できるんじゃないかと思います。


──どんな経緯で carutena はいまに至るのですか。

kanna:私は経営学を専攻しています。服の大量廃棄の問題には取り組みたかったけれど、環境問題について自分には専門性がない。それで、環境学を専攻していた haruna と組もうと思いました。2020年2月に本格的に動き始めて、4月末に carutena の Webサイト Instagram を公開しました。


──どんな風に商品のデザインや縫製をしているのですか。

kanna:デザインは私と haruna が考えて、縫製は外注しています。2月、3月の準備期間中は sayo もいっしょに何度もミーティングをしながら、サンプル商品を作っていました。


──経営や今後の展望について伺えますか。

haruna:最初は赤字でした。いま、トントンに持っていくところです。今後、収益が出たら「エシカル協会」に寄付していこうと決めています。寄付するのなら、一番信頼できるところがいいと思いました。


──収益は寄付されるのですね。エシカル協会のことはどこで知ったのですか。

kanna:代表の末吉里花さんが上智大学(* 3人とも上智大学に所属)に来てくれたことがあり、授業を受けました。

* 参考記事:「エシカルな若者、文化、未来を思い、語ること(末吉里花さん)」(エシカルSTORY)

kanna:いま起業の勉強をしています。卒業後、carutena をどうするか、自分はどうするか、考えているところです。


──みなさんとファッションのかかわりについて伺ってもよいでしょうか。

haruna:私はファッションを楽しむサークルに所属しています。スタイリストがついてショーを開催することもあります。ファッションは楽しいし、ひとをハッピーな気持ちにさせてくれます。だからこそ、自分の買った服に対して、最後まで責任をもちたいと思います。

ランウェイにて(右が haruna さん)

sayo:そうですね。楽しさって大事だと思うんです。たとえば「エシカルなブランドの服だけを買おう。ファストファッションはやめよう」という言い方をするつもりはないし、そう言いたくありません。自己表現をして、楽しむのはいいじゃないですか。ただ、出口のところで「かんたんに捨てるだけじゃなくて、ほかにも方法があるよ」と伝えたい。

haruna:そう、出口のところにフォーカスする。


*「出口」というのは、製品が「作られて、買われて、捨てられる」その最後の部分を指す。製品の「ライフサイクル」(原料から廃棄までの流れ全体を見る)の考え方をもとにしている。


kanna:私は小さな頃からひととちがうことをするのが好きでした。ものを作るとか、ゼロからイチへなにかを立ち上げたいな、と。

いまは、あるファストファッションのショップで働いています。セールの時には20着くらい買っていくひともいるんですよ。「もしかして、かんたんに捨てちゃうのかな」と考えてしまうこともあります。「買う、使うことに対する責任」の意識をみんなが持てるといいな、と思いました。carutena がそういうひとのための選択肢のひとつになれるといいのですが。


──みなさんの夢を聞かせてください。

kanna:carutena の夢は、新宿とかを歩いていて、「あ、あのひと carutena のバッグを持っている!」となることです。服を捨てるのではなくて、「捨てる」という考えをなくして、どこかに送るとか、誰かにあげるとか、そういう風に多くのひとがなってくれたらと思います。

haruna:いらない服ができた時、「じゃあ、carutena に持っていこう」と自然と思われるようになることが夢です。アップサイクルの第一人者になりたい。carutena に持っていくという選択肢を誰もが頭の片隅に持っている、という風になれたらいいですね。

sayo:ふたりと同じ夢を共有しています。そして、社会問題はひとつではないので、生産者の児童労働や綿花畑の農薬など、さまざまな課題に目を向けていけるようにしたいです。


3人とも、ファッションにかかわる自身の経験やさまざまな活動から、強いインスピレーションを得て carutena の事業にたずさわっていました。いまの carutena を各々のエシカルな社会活動の第一歩だと位置づけているようにも受け取れました。デザインの素敵なたくさんのトートバッグのように、彩り豊かな未来を築いていかれるのだと思います。


取材・文:木村洋平
画像提供:carutena

carutena(カルテナ)
Webサイト:www.carutena.com
Instagram:@carutena
Twitter:@carutena
Facebook:carutena


プロフィール:野中晴菜(のなか はるな)

野中晴菜 haruna carutena代表

carutena 代表の大学3年 haruna
大学では国際協力を学ぶ。そのなかで、アパレル産業が環境破壊に加担していることを知って疑問を抱き carutena を立ち上げる。好奇心が旺盛で、なんでもやりたくなってしまう。駐日アフガニスタン大使館でインターンをしたのも良い思い出。「よりよい世界」のためになにかをしたい。趣味は映画鑑賞と海外旅行、料理。


プロフィール:樋口栞那(ひぐち かんな)

carutena 代表の大学3年 kanna
大学では経営学を学んでいる。アパレルでのアルバイトを通して服の大量廃棄に疑問を抱き carutena を立ち上げることを決めた。2つのブランドで店員をしてきたが、「買う側の責任」だけでなく、「売る側の責任」もあると現場で痛感。趣味は映画鑑賞とドライブ。


プロフィール:細井彩世(ほそい さよ)

carutena ジェネラルマネージャーの大学3年 sayo
今日より、より良い明日を作り出すためにさまざまなことに元気に挑戦中。社会課題の解決を目指す団体を立ち上げる、政府への政策提言をおこなう団体に所属、国際サミットへの参加など、活動の幅が広い。持ち前の笑顔と、一歩前に踏み出す力を活かして carutena の活動に貢献している。ひとと話すのが好き。また、子供が好きなので教員を目指して勉強中。


おまけ:3人のおすすめ映画
「ザ・トゥルー・コスト 〜ファストファッション 真の代償〜」
「ネクスト・イン・ファッション」
「プラダを着た悪魔」


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