「エシカルな食べ物」といわれて、ぱっと「これ!」と浮かぶでしょうか。この記事では5つの切り口から「食のエシカル」を紹介します。
エシカルな食べ物ってなんでしょう? ここでは、5つの「エシカルな」切り口を挙げて紹介します。
「フェアトレード」「オーガニック」「ヴィーガン」「地産地消」「お米」の5つです。
フェアトレード
「公平な貿易」を意味する言葉、フェアトレード。
なにが「フェアトレード」に当たるのかは一概には言えないのですが、「認証ラベル」はよい基準になります。
上の写真は、とあるコーヒーのドリップパックについている「国際フェアトレード認証ラベル」です。原料の生産、加工、輸出入など各段階で審査がおこなわれます。
オーガニック
有機栽培によって作られた農作物は、「オーガニック」と呼ばれます。緑の有機JASマークを見たことのある方も多いのではないでしょうか。有機栽培では農薬や化学肥料を使いません。
土、太陽、水など、自然の力で育った野菜や果物は体にやさしいものです。それだけでなく、土壌を汚染しませんし、生産者の健康を守ることにもつながります。
ヴィーガン(ビーガン)
ヴィーガンはベジタリアン(菜食主義)のなかでも、卵、乳製品、はちみつなどを食べない立場のこと。
「それのどこがエシカルなの?」と思われるかもしれませんが、「動物由来の食品を避けることで、動物に苦しみを与えないようにする」という点がエシカルです。
また、別の観点からいうと、肉食は菜食よりも、生産過程での水の消費量が多く、二酸化炭素を多く排出します。
ですから、「水不足や気候危機を加速させてしまう」という理由で肉食をなるべく避けることはそもそもエシカルといえます。そこから、もう一歩進んでヴィーガンになるひとも多いようです。
地産地消
「地域」を大切にする価値観はエシカルですから、地産地消の食べ物はエシカルといえます。海に面した土地で魚やカニを食べる、北海道で道産の豚肉を食べる、地域で育ったお米を食べるなどです。
旅先の旅館で出されるような食事は、自然とエシカルになるかもしれません。
お米
これはやや独自の見解になるかもしれませんが、日本でお米を食べることはエシカルです。と言うと、
もしかしたら、「オーガニックな小麦でできたパンより、お米の方がエシカルですか?」と質問されるかもしれません。それはエシカルの切り口がちがうので、たしかに比べられません。
それでは、なぜお米がエシカルかというと、水田のある生活を保てるからといえます。お米が作られる水田は、「水」の観点からすると流域のさまざまな保全に役立ちます。
かんたんにいえば、アスファルトで舗装された土地や荒れた土地よりも、水田やそれにかかわる生態系が守られた土地の方が、水害に強く、また生物の多様性も増すのです。
こうして米食は、めぐりめぐって地域の自然を守り、また自然災害を軽減する点でエシカルです。
さらに、自分の住む地域でお米を食べれば「地産地消」になり、輸送コストもかからず、新鮮な食べ物が得られ、地域の経済も豊かになります。これがお米のエシカルです。
まとめ
このように、さまざまな「エシカルな食べ物」があります。そして、切り口や観点によってなにがエシカルな食べ物になるかが変わることも伝わったかと思います。
たとえば、ヴィーガンの立場からは「肉食」はエシカルではありませんが、地産地消の立場からいえば、伝統的に飼育された和牛やその土地の酪農の恵みをいただくことはエシカルです。
いずれにせよ、「ぜんぶがエシカルな食生活」をすることは難しそうです。小さなことからスタートして、継続できる範囲で(サステナブルなやり方で)エシカルな食生活を楽しめたらよいのかと思います。
文・写真:木村洋平