​​2024年に向けて「エシカルの今」を知る(後編)

「エシカル、サステナブル、SDGs」であつかわれるキーワードを一覧できるように整理しました。

青空に風船と雲

年をまたいでしまいましたが、前編の続きです。

日本も今SDGsがブームですが、「エシカル、サステナブル、SDGs」はあつかう範囲が広いため、イメージをつかみにくいところがあります。

そこで、この記事では「エシカルの今」を知るための具体的なキーワードを整理しました。


《美容》

ヘアドネーション…髪の毛の寄付。病気や怪我によって髪を失った人に医療用ウィッグを作るための寄付です。脱毛の理由には、抗がん剤や放射線治療、ストレスなどがあります。

オーガニックコスメ…防腐剤や合成着色料など、さまざまな化学成分を基本的に使っていないコスメのこと。「ナチュラルコスメ」「自然派コスメ」も同じような意味で使われます。

ヴィーガンコスメ…動物由来の材料を使わず、動物実験をせずに作られた製品のこと。植物由来の成分で作られるため、低刺激で体に優しいといわれます。

エシカルコスメ…「エシカル、サステナブルなコスメ」という総称として使われる言葉です。オーガニックやヴィーガンをふくむほか、フェアトレードの意味合いがあります。生産者の健康を害していない、児童労働がない、といったことです。


《建築》

バリアフリー…「車いすで移動する人に配慮のある施設や建物」を指すことが多かった言葉です。スロープがある、エレベーターが使いやすい場所にあるなど。そもそもは「バリア(壁、障壁)がない」という意味であり、高齢でも障がいがあっても、目や耳が不自由でも、日本語の読み書きが不自由でも、子供でも、誰でも利用しやすいように場や関係を作ることです。そのために、差別や偏見をなくそうとする「心のバリアフリー」も近年よく言われます。

ユニバーサルデザイン…誰でも利用しやすい建築やまちづくりを指します。上の「バリアフリー」の広い意味に似ています。年齢、性別、国籍、障がいの有無、個人の能力などにより利用不可にならないように配慮すること。自動ドア、多機能トイレ、多言語表示やピクトグラム(絵文字)、点字など。本来は建築にかぎらず、「日本語が読めなくてもわかる説明書」「握力が弱くても使いやすい商品設計」などさらに多様です。

ZEH(ゼッチ)住宅…高断熱、省エネを考えた住宅。冷暖房を控えられるため、電気代が安くなり、環境負荷も低くなります。

古民家再生…伝統的な建築方法で作られた家をリフォーム、リノベーションして住むこと。伝統を大切にし、環境負荷をおさえて再生、居住できる点でエシカルです。そこをシェアハウスにしたり、コミュニティスペースにする場合もあります。


《エネルギー》

太陽光発電…太陽光パネルで、太陽エネルギーを電力に変えます。広い土地に巨大な発電施設を作るメガソーラー、農業と一体化したソーラーシェアリング、個人宅の屋根に設置したり災害時に活用する小さなソーラー発電があります。

風力発電…風車を回して発電する。洋上(海の上)と陸上があります。日本は島国で領海も広いため、洋上風力発電は伸びる可能性が大きいと期待されています。

バイオマス発電…廃棄される木材、生ゴミ、家畜の糞尿など、生物由来のものを燃やすか発酵させて、その熱で発電します。

地熱発電…主に地下のマグマの熱を利用して発電します。日本は火山の多い国なので、地熱は安定した電力源として期待されています。

* いずれも化石燃料(石油、石炭)に代わる「再生エネルギー」として注目されています。地球の温暖化と気候変動をおさえるため、再生エネルギーの活用は世界中で推進されています。


《地球環境全体》

気候変動…天気や気温がおかしなほど急に変化したり、豪雨、台風、山火事などの自然災害がよく起こることを「気候変動」といいます。原因は二酸化炭素が増えすぎたためと言われ、二酸化炭素を出す量を減らすことが求められています。「気候危機」「地球温暖化」もほとんど同じ意味で使われます。

脱炭素社会…大きな気候変動を防ぐため、二酸化炭素を出す量を減らす社会を目指すこと。ヨーロッパ、アメリカを中心にこの動きが加速しています。大気中に出される二酸化炭素のもとは「石油」が大きな割合を占めるため、石油を使わなくて済むエネルギーや資源、素材の開発、探求が進んでいます。

インパクト投資、ESG投資…環境や社会によい影響を与える事業をする企業、組織に投資すること。エシカル、サステナブルな投資です。社会問題を解決しようとする企業や組織には、長期的な成長性やビジョンがあると考えられており、世界的な投資のトレンドになっています。

リモートワーク、DX…「脱炭素」をふくめ、エネルギーの消費をおさえた働き方が求められています。オフィスに出社しないリモートワーク(在宅や地域のコワーキングスペース、シェアオフィスなどを使う)やITのソフトウェアを効率的に使って仕事をするDX(デジタル化。デジタルトランスフォーメーション)は、環境を守るためにも世界的に必要とされています。

* 世界では、多国籍企業や国連、機関投資家など大きな組織がこうした動きを加速させています。これに日本もだんだん追いつこうとしています。


 上の説明はなるべく簡潔にしました。もっと色々な意味や考え方もあると思いますし、項目になっていないキーワードもあるでしょう。気になったらぜひ調べてみてください。

前編では《食》《農》《衣料、ファッション》《日用品》についてまとめています。


文:木村洋平