車から排出される二酸化炭素は日本で年間1億6,206万トン。この温室効果ガスを減らすため、電気を動力として走行する電気自動車について紹介します。
電気自動車(EV)とは?
「電気自動車(Electric Vehicle)」は、ガソリンを使わずに電気で動く自動車です。
電気自動車は、バッテリーに蓄えられた電気でモーターを駆動させ、走行する仕組みです。走行時に二酸化炭素が発生しないので、脱炭素やカーボンニュートラルを実現する上で注目されています。
エンジンで動く車にガソリンをいれるのと同じで、電気自動車のバッテリーは充電が必要です。
また、電気自動車以外にも、水素を動力として走る車や、ハイブリッド車のようにガソリンも使いながら電気が動力のモーターを使って走る車もあります。
これら、エンジン以外を動力としている車をまとめて「電動車」と呼びます。
電動車の種類は主に4つです。
・ハイブリッド車(HEV)
・プラグインハイブリッド車(PHEV)
・電気自動車(BEV、EV)
・燃料電池車(FCV)
電気自動車をはじめ電動車は、エンジンで動く車に比べて、エネルギーを無駄なく効率的に使うことができます。
自動車が環境に与える影響
エンジンを動力としている車は、マフラーから排気ガスを排出します。
排気ガスには二酸化炭素が含まれています。車の排気ガスも、地球温暖化の原因のひとつです。
2020年の日本の二酸化炭素の総排出量は10億4,400万トンでした。
そのうち、自動車から排出された二酸化炭素は1億6,206万トンで、日本全体の15.5%にあたります。
一方、2020年の自動車以外も含めた運輸全体の二酸化炭素排出量は、2013 年比で17.6%減少しました。2013年から8年連続で減少傾向にあります。
これは自動車の燃費改善や、新型コロナウイルス感染症の影響による輸送量の減少が主な理由です。
二酸化炭素が排出されるのは、走行時だけではありません。
製造や解体の段階でも、多くの二酸化炭素が排出されています。
走行時に二酸化炭素を排出しない電気自動車も、生産や廃棄の過程では二酸化炭素が排出されるのです。
そのため、トヨタ自動車をはじめ日本国内の自動車メーカーは、生産に伴う二酸化炭素の排出を抑え、工場から排出される二酸化炭素をゼロにする取り組みをはじめています。
近い将来、日本は電動車が主流になる
今、日本でも国内自動車メーカーによって、電気自動車へのシフトが急速に進んでいます。
「2035年までに、新車販売で電動車100%を実現する」
これは、2021年1月18日「第240回国会における施政方針演説」の”グリーン社会の実現”の項目で、当時の菅義偉首相が表明した内容です。このように、政府もガソリン車から電気自動車への転換を推進しています。
国内自動車メーカーのEVへのシフトが進んでいる例を2つ紹介します。
日産自動車は、自動車メーカーとして初めて電気自動車の量産に成功したメーカーであり、電気自動車市場を牽引してきました。
そんな日産は、2022年6月に日産初の100%電気で走る軽の電気自動車「SAKURA」の販売を開始しました。
他にも、トヨタ自動車から2022年5月に発売された新型車、バッテリー式電気自動車(BEV)の「bZ4X」は、全数がリース専用車となっています。
バッテリーの電池性能やメンテナンス、残価に関するお客様不安の解消やカーボンニュートラルへの貢献が全数リース専用車にする目的です。
さらに、トヨタ自動車は2030年、バッテリー式電気自動車のグローバル年間販売台数を350万台にすると発表しています。
この350万台という数字は、トヨタの年間販売台数の3分の1にあたります。
電気自動車を含む電動車が主流になる未来は必ずやってくるといえるでしょう。
まとめ:電気自動車の課題とメリット
「電気自動車」は、気候変動対策やカーボンニュートラルの実現の観点から注目される自動車です。
現状、充電スタンドが少ないことや、車両価格が高いことなどの課題もあります。このような課題が解決されるのであれば、電気自動車は多くの人にとって身近な存在となると言えるでしょう。
今や世界のメガトレンドは「電気自動車」です。
気候変動対策を含め、メリットが多いことから、ガソリン車からの転換はこれからも確実に進みます。
私たちも、気候変動の問題が身近なものであると意識し、カーボンニュートラル・脱炭素に向けて考え、選択する時代を受け入れる必要があるのです。
文:すぎやまゆい
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