私たちの身近にあるエシカルを見つける「となりのエシカル」。今回はスターバックス・コーヒーの取り組みに注目します。
カフェには、おしゃべり、仕事、気晴らしをするのに行かれる方も多いと思います。ドトールやスターバックスは店舗数も多いですね。
スタバといえば、「若いお客さんが多い」「季節ごとのフラペチーノ」「おしゃれ」といったイメージがあります。しかし、一番に「ひとや環境への配慮」と思う方は少ないかもしれません。
実はスターバックスは「エシカル先進企業」です。もう10年以上前から、コーヒー豆を買いつけるのに独自の「エシカルな調達」を心がけて来ました。そして、2015年にはスタバで使用する99%のコーヒー豆が、エシカルな認証を受けるようになっています。
SDGsが国連で採択されたのが2015年ですから、その時すでに「エシカルな調達」の体制を整えていたのは早い例といえます。他方、エシカルの導入がゆっくりであった日本では、2019年後半くらいからようやく「SDGsに注目しよう!」という声が上がってくる様子でした。
「じゃあ、スターバックスはフェアトレードに熱心なの?」
と思われるかもしれませんが、フェアトレードにかぎらず、ほかにもさまざまな「エシカルな取り組み」を実現しています。
たとえば、多様な働き方を採り入れる、障害のあるひとを雇用し、それぞれの働きやすさに配慮する、地域とのつながりを大切にする、災害支援、若い従業員の教育、日本の文化・伝統を大切にするなど。すべてスターバックス・コーヒー・ジャパンのホームページ(ソーシャル・インパクトのページ)に紹介されています。
筆者もスターバックスの店舗が主催するイベントに参加したことがあります。地域のひとたちが笑顔でコーヒーを試飲し、小さなマシンに触れていました(地域のつながり)。
なお、下の写真はスターバックスのトレイに書いてある文章ですが、「和歌山県の職人さんの手によって、国産材で作られたトレイである」という趣旨です。日本の文化や伝統、林業に配慮していることがわかります。
では、なぜスターバックスはこんなにもエシカルに熱心なのでしょうか?
一番の理由は、事業の継続性だと思われます。たとえば、気候変動によってコーヒー豆が取れなくなる(コーヒーの木が育つ産地が変わってしまう)といったリスクに対して、生産者と密につながることで対応しているのです。
当たり前ですが、コーヒー豆が安定的に調達できなければ、スターバックスは事業を続けられません。だから、フェアトレードを推進し、生産者から流通の過程まで、本社できちんと管理できるようにしているのです。その結果、機関投資家(巨額の資金を運用する会社や基金)からも信頼が得られます。
こうした考え方が「サステナビリティ(持続可能性)」と呼ばれるものです。自分たちの事業をサステナブル(持続可能)にするためにも、地球環境をサステナブルにするためにも、エシカルな取り組みが必要とされます。
日本でも同じ「買う」なら「いいこと」をしている企業の製品を買いたい、就職も「いいこと」をしている企業にしたいといった声が高まっています。それで「エシカル就活」という言葉も広まってきています。
*エシカル就活については、Allesgoodのサイトをご覧ください。
これから「エシカルな価値観」はさらに広まっていくでしょう。
企業のみならず、自治体の取り組みにも注目です。東京都はすでに「エシカル消費」を促しています(こちらのページ)。
以上、スターバックスを例に上げた「となりのエシカル」でした。みなさんも身近にあるエシカルを探してみてください。
文/写真:木村洋平
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