ありのままの「サステナビリティ」が若いアクティビストや起業家を下支えする

「個のクリエイティビティ」を大切にする RIDE MEDIA & DESIGN 株式会社のサステナビリティ統括 佐藤祥子さんにお話を伺いました。

佐藤祥子さんプロフィール写真
佐藤祥子さん

ミッションに「クリエイティブの力で人々にウエルネスを 社会にサステナビリティを」と掲げている会社が目指す「サステナブルな社会の姿」とはどのようなものでしょうか。

今回のインタビューは、RIDE MEDIA & DESIGN 株式会社のサステナビリティ統括 佐藤祥子さんにお話を伺いました。



──インタビュアー(木村):RIDE MEDIA & DESIGN 株式会社はどのような企業と考えればよいでしょうか。

佐藤さん:Webメディア制作、コンテンツマーケティングを軸に多角展開しているクリエイティブ・クラスカンパニー。クリエイターを抱えて制作を受注するだけでなく、自社発でクリエイティブな取り組みをしています。

RIDE MEDIA DESIGN 株式会社 ホームページより

──佐藤さんは「サステナビリティ統括」でいらっしゃいますね。お仕事は、自社発の取り組みが多そうですね。

はい。

サステナビリティ統括としては、ペットボトルのゴミ箱を廃止、リユーザブル食器の導入といった社内活動のほか、企業・団体との共創イベントや展示会を企画運営。

また、四角大輔(よすみ だいすけ)というニュージーランドでサステナブルな自給自足ライフを営む執筆家のディレクションもしています。

さらに今年のはじめから、オランダのアムステルダム在住でサーキュラーエコノミー(循環型経済)の研究家である安居昭博(やすい あきひろ)さんとともに、サーキュラーエコノミー型ビジネスデザイン・プラットフォームを始動しました。

日本とオランダを拠点に、視察イベントや講演会、コンサルティングを通じて、主に日本企業のサーキュラーエコノミー型ビジネスの構築をサポートしています。

そして、こういったサステナビリティ×クリエイティブ事業の集大成が、“THE VOTE”(ザ・ボート) です。

──ありがとうございます。THE VOTE についてはのちほどゆっくり伺いたいと思います。さて、RIDEさんにとっての「サステナビリティ」とはなんでしょうか。

模索中ですね。

とにかく「一方向から見た正しさを決めない」ことをすごく大切にしています。「サステナビリティというのはこれが正解、これじゃないものはダメ」としないように。

SDGs(持続可能な開発目標 Sustainable Development Goals)に取り組む企業や団体は、具体的な「正解」を求めてしまいがちですが、私はサステナビリティとは「問い」であると思っています。

サステナビリティに照らした正しさを考え続け、また問いかけ続けています。

RIDEはポッドキャストで「一方的に、愛を」という番組を運営しています。そこではZ世代、ミレニアル世代でエシカル、サステナブルな活動をPOPにアウトプットしているひとをゲストに呼び、対談しています。

そのなかで思うのは、若い方々が多様性を受け入れた発信をしているということです。

この社会では、さまざまな人がさまざまな環境の下に、それぞれ必死に生きています。明日の食事も着るものも、ままならない人もいます。

そんな中で、「海外の森林が燃えているから寄付をしてください」「社会課題に興味を持つことは当たり前」と言われたら、苦しく感じるかもしれません。

社会課題をより多くの人が受け取りやすくするには「カジュアルさ」や「POPさ」が必要だと思います。

ミレニアル世代以下のひとたちはこの点がうまいですよね。そういう風に必ずしも真正面から行かずに、ちょっとちがった方向から切り口を見つけたい。

いくつも多角的なアプローチをしていって、そのなかで共通項が生まれてくる。最初から「これが正しい」と言い切ってしまうと、ひとつアプローチをするしかない。

このあたりは、やってみないとわからないですよね。試行錯誤します。


──現在「サステナビリティ」と呼ばれているような領域への関心は、昔からあったのですか。

私がずっと考えていたのは、「なぜすべてがありのままでいられないのか?」ということでした。

現在のサステナビリティには全体像があると思いますが、その根っこの部分というのでしょうか。

長い間、「なんで自然も、人間もみんな苦しそうなんだろう?」という疑問があり、その解決策を考えるなかで自然にサステナビリティにたどり着いた。そういう感じでしょうか。

なんだかいまの社会には、みんなが同じフォーマットに収められるという印象があります。


──「ありのまま」でいられないと感じる場面を具体的に教えていただけますか。

こどもの頃から、私は「ふつう」が理解できない子供でした。

「前へならえ」とか、なんでやらなきゃならないのと思っていた。

日本社会では「ふつう」であることを強く求められますが、これが決まりなんだから、ふつうなんだからと言われることに合わせることができず、苦しかった。

20代になり社会に出ると、周りに「はまれない」自分が悪いのかと考えました。そんななかで自分と同じようなひとたちと知り合うようになって、じゃあこういう仲間とやっていこうと。


──そういう違和感から「サステナビリティ」にたどり着かれたのですね。サステナビリティもエシカルも「地球環境に配慮する」ものですが、ふだんの生活で気にかけていることはなにかありますか。

お店でものを手に取る時、それを買う時に、「なぜ私はこれを買うのか?」「なぜこういう表記やデザインがされているのか?」とよく考えます。

そんな風に、日々の物事に意味を問いかけることが、サステナビリティやエシカルに繋がるのではないでしょうか。

イタリアの美術家 ブルーノ・ムナーリの『ファンタジア』という本が好きです(* 実際に、本を見せてくださる)。ぼろぼろになりました。

古い本です。ここには、子供のように純粋な、この世界に対しての問いかけが詰められています。版元のみすず書房は大好きですね。