エシカルな服の生地とは?──リネン、綿、ウール、レーヨン、ポリエステル

リネンの生地

こちらの「エシカルファッション」を紹介する記事では、主にブランドについて考えました。今回は服の「生地」について見てみましょう。

ここでは、リネン、綿、ウール、レーヨン、ポリエステルの5つの生地を「エシカル」の観点から見ていきます。


リネン(麻)

リネンは亜麻を原料にしてできる生地です。亜麻は食物の栽培に適さないような痩せた土地でも育つのが良い点です。ヨーロッパの北部では昔からよく使われてきました。

従来の製法では、刈り取った亜麻を川や水路に浸す必要があるため、亜麻から出るゴミや農薬が流れ出して水を汚染するという問題があります。いまは水に浸さず化学薬品を使って加工する製法が、より環境にやさしいとされています。

綿

綿は天然の繊維であり、衣類や家具などに使われる全繊維の1/4を占めます。丈夫で通気性がよく、用途は幅広いといえます。また、生分解性であるため、合成繊維(ナイロンやポリエステルなど)に比べてずっと早く土に還ります。

しかし、綿花の栽培には大量の水と農薬が使われています。国連によると世界の水使用量の3%は綿花の栽培に当てられているそうです。エシカルファッションで取り上げられることの多いオーガニックコットンも、単位面積あたりの収穫量が少なくなりがちであるため、より広い耕地を使ってしまうという問題があります。

ウール(羊毛)

ウールは丈夫でしわになりにくく、もとの形を保ちやすい素材です。しかも、湿気を吸収しますし、化学薬品を使わずに染料の色をきれいに保てます。

しかし、ウールには2つ問題があります。ひとつは羊がげっぷで出すメタンガスです。ウールのカーボンフットプリント(温暖化を進める温室効果ガスの総量)のおおよそ50%は羊から発生しています(メタンガスはCO2よりも温室効果が大きいです)。また、ヴィーガンや、動物愛護(アニマルライツ)の観点から「動物の製品は使わない」という立場の方は、ウールは使えないでしょう。

レーヨン

レーヨンは人工の繊維でセルロースからできています。もとをたどれば針葉樹や竹などの木材です。これらは生分解性ですが、素材を生地にする工程で使われる二硫化炭素には毒性があります。レーヨンを作る工場にいる作業員が二硫化炭素にさらされ続けると、パーキンソン病や心臓発作、脳卒中にかかるリスクが高まるといわれます。もっとも、お店で製品を買う消費者には危険はないとされます。

ポリエステル

現在、ポリエステルは衣料品の60%に含まれています。伸縮性と耐久性があり、着心地も快適といった点で好まれています。しかし、原油から作られたプラスチック製品であり、洗濯するたびにマイクロプラスチック(マイクロファイバー)が水に流れます。それは川や湖、海に入り、めぐりめぐって動物や人間に摂取されています。

ポリエステルの生地

以上、5つの生地を紹介しました。

それぞれ「エシカル」の観点でみて良い点と悪い点があります。もやもやした気持ちが残るかもしれませんが、やはり短いサイクルで捨てることなく、長い間大事に着られる製品を選ぶことが大事だといえます。どの生地であれ、良い点も悪い点も理解したうえで、自分のライフスタイルや考え方に合った服を買えるとよいですね。

自分が着ていて気持ちのよい服を選び、愛着をもって使い、楽しめるなら、それがエシカルファッションなのでしょう。


* なお、生地は「服」だけに使われるわけではないので、鞄、帽子、雑貨、寝具などを選ぶ時にもこうした知識は参考になります。「エシカルファッション」という言葉も「服」だけを対象とするわけではありませんが、この記事ではかんたんに「服」とまとめました。

参考:https://www.treehugger.com/do-you-know-which-fabrics-are-most-sustainable-4858778

こちらの記事「エシカルファッションとは?──ひとや環境に負荷をかけないおしゃれの仕方」も併せてご覧ください。

文・写真:木村洋平