AIに質問をすると、けっこう正しく、適切な答えをくれます。無料で使えるので、一問一答で知りたいことをきいてみましょう。

今、AI(生成AI)が進化したことで、基本的な知識やリテラシーをAIから得られます。
スマートフォンでも、パソコンでも、ブラウザ(インターネットを見るソフト、アプリ)から使えます。
この記事では、Google(グーグル)が提供するAIのGemini(ジェミニ)を使って解説します。
AIに質問をする

AIの使い方は、かんたんです。
Googleの検索ボックスに直接、質問を入力します。単語ではなく、質問文を入力すると、AIが答えてくれます。(右の「AIモード」を押すと、AIの答えのみが表示されますが、ふつうにエンター(決定)を押してもAIの答えが出ます。)
また、URLを入れるバーに、質問を入力しても大丈夫です。同じ結果になります。

「エシカル消費とは?」という質問を入力してみました。
AIがインターネット上の情報をまとめた「要約」が、AIの答えとして表示されます。
その下には、通常のGoogle検索結果(参考になるサイト)が出ます。
AIの答えの右側には、AIが「答え」を作った時に参考にしたサイトのうち、重要なものが示されます。ここをクリック(タップ)すると、AIの答えの「根拠」を自分で確かめられます。
AIがうまく答えてくれない時は、「AIモード」を押すと、AIの答えのみが表示されます。

AIの答えの精度
筆者の実感では、事実にもとづいて客観的に答えられる質問をすれば、AIの答えは、おおよそ9割、正しいと言えます。ただし、出てきた答えが「正しい」ことと、それが「適切な答え」であるかは別のことです。たとえば、本当は優先順位として「A,B,C,D」という4つの内容を答えるべきところ、「B,D-1,D-2」のように一部の内容だけを答えているのでは?と感じることもあります。
事実や見識として正しい答えも、質問に対して、それが最適な答え(ベストアンサー)かどうかは、別だからです。このあたりは、価値観やものの見方にもよるので、AIであれ、人であれ、1つの正解が決められるわけではありませんが、注意してください。
AIに質問する時のコツ
AIに質問する時のコツを紹介します。
「一問一答」にすること
1つの質問では、1つのことを聞くのがおすすめです。シンプルな質問文がよいです。
質問を複雑な文章にしてしまうと、答え方があいまいになる可能性があります。
悪い例:「エシカル消費の由来と、エシカルとサステナビリティとのちがいは個人レベルと国レベルで分けられるかを答えて。また金融の動きは関係あるか?」
質問に「+プラス」でつけ加えられる言葉
「6つ答えて」
「2020年以降の日本で」
「この30年、世界で」
「英語圏の情報をもとに教えて」
こういった言葉(フレーズ)を質問に足すと、答えをより正確に、適切にしぼりこめます。
良い例:「エシカルな行動の例を6つ答えて」「この30年、世界でサステナビリティはどのように進んだか?英語圏の情報をもとに教えて」
参考(1)
日本語で質問した場合、AIは、日本語のサイトを中心に調べて答えてくれることが多いです。しかし、情報の種類によっては、外国語で発信されている情報を知りたいこともあります。その場合は「英語圏の情報をもとに教えて」といったフレーズが便利です。また、韓国について質問するなら、「韓国語の情報をもとに教えて」もよいでしょうし、フランス、ドイツ、スペイン語圏、中国などについても同様です。
参考(2)
生成AIは、画像や動画を生成できるなど、今では「万能な活躍」を見せています。しかし、AIの基本はどうやら「言語、テキスト(文字)」の処理でできているようです。AI自体は、特定のアルゴリズム(決まった仕組み)を持たない、ディープラーニング(深層学習)によって動いているため、中身はブラックボックスなのですが、テキストデータの処理を中心に動いているようです。そして、インターネット上の情報は、どうしても英語が中心です。英語が国際語として普及しているからですし、インターネットの技術そのものが主にアメリカで、英語を基本の言語にして発達してきたからです。
だから、「英語圏の情報をもとに教えて」という質問の仕方は、情報のソース(出典、おおもと)を広げるためにも有効です。日本語の情報は、さまざまな分野で限られていることが多いです。
30の質問
今の日本と世界(国際情勢)を知るために、有益な質問を30個、考えてみました。
AIにする質問の例です。
このまま、「コピー&ペースト」して使うこともできます。
ぜひ、みなさんも知りたいことを聞いてみて、社会の見方や世界観を広げてみてください。

世界でサステナビリティが重要と言われるのはなぜ?
今の日本の「世代間格差」について、所得と資産の不均衡に注目して教えて
「世代間格差」と「気候変動」は関係しているの?
気候変動対策は具体的になにをすべき?政府、役所、企業、市民について教えて
なぜ、日本はジェンダーギャップが先進国最下位というほど、悪いのか?
今、日本でジェンダーギャップを小さくするためにどんな方法がある?
なぜ日本の通勤ラッシュは長い間、過酷なまま、変われないのか?
通勤ラッシュを緩和する社会的な仕組みのアイデアは?
なぜ日本は長らく海外からの投資をほとんど呼び込めていないの?
国際社会から批判的に見られる日本の商慣習はどんなもの?
「失われた30年」の間、日本政府の失策や無能はどんなことがあった?
日本では政官財の癒着が強く、そのために社会の変革が遅れてきた?
日本の大きな組織や行政機関では、多様性が欠けているために意思決定がうまくいかない状況になっているか?
なぜ令和の日本社会で、いわゆる「おじさん」は嫌われてきたのか?
世界で自動車産業はどんなチャンスや危機を迎えているか?
グローバルに通用する日本の産業の強みはなに?英語圏の記事に注目して教えて
グローバルに通用する日本の観光業の強みはなに?英語圏の記事に注目して教えて
今の日本で、子供・未成年やビジネスパーソンの介護の負荷は大きいと言えるか?
なぜ、日本で外国人の人材や労働者がこんなに必要とされているの?
なぜ日本は40年にわたり少子高齢化が続いたのか?日本の労働環境に注目して教えて
日本の大手メディアは、癒着や報道の自主検閲、閉鎖性などの問題を構造的に持っていると、国際社会から見られている?英語圏の記事に注目して教えて
国際社会から批判されている日本のエンターテイメント業界の問題点は?英語圏の記事に注目して教えて
日本のアイドル業界は人権の点でどんな問題がある?欧米やアジアの他の国と比べて答えて
日本で地方の過疎化や衰退が進んできた原因はなにか?
日本では地方分権をもっと進めるべきか?その理由は?
皇室をめぐってさまざまな議論があるが、海外からはどう見られているか?
今の日本で「寛容さ」が必要と言われるのはなぜか?
なぜ今、国際協調が大事だと言われるのか?
平和を守るために私たち一人ひとりができることはなに?
AIを利用する時、気をつけるべきことを5つ教えて
以上、30個の質問例でした。
わからない単語があったら、それもAIに聞いてみてください。
AIがまちがえる時
AIの答えにも「まちがい」はあります。
AIのまちがいや答え(出力)の不安定さに、気をつけてください。
数字のまちがい
文章にまちがいが含まれる場合もありますが、数字のまちがいも見られます。
それは、AIが要約を作る時に、どこから数字を引っ張ってくるかによって、数字が変わるからです。
たとえば、日本では「白書(はくしょ)」という官庁が毎年、公表する情報があり、そこから取ってくることもあるでしょう。これはほとんど正確だと言えます。白書をもとに書かれた内閣府や自治体のサイトもあります。
一方で、各種の統計データや調査結果は、調査元の会社や財団、組織によって信頼性にばらつきが出るでしょうし、調査のサンプル数(数が多いか、少ないか)や調査方法(電話調査なのか、インターネットで無作為に質問を送ったのか)などによっても結果が変わるでしょう。直近の調査が、何年も前の、ごくかぎられた範囲の調査結果しかインターネット上になく、そもそも答えが正確にわからない場合もあります。
こういったケースのちがいにかかわらず、AIは同じように答えを表示するため、読み手はその「正確さ」や「どの母集団を代表しているか?」といったことを気にかけないと、数字の読み解きに失敗することがあります。
情報源はどこか?
AIは数百のサイトを瞬時に読み込み、まとめて答えてくれるようですが、どこを主な出典にするかによって、答えが変わります。日本語のサイトなのか、英語圏のサイトなのか。日本語のサイトだと、ローカルな情報や国内の情報にくわしくても、忖度(そんたく)やメディアの自主規制により、情報が隠される(あえて表立って言われづらい)こともあります。科学の研究結果は、基本的に英語で、世界中に共有されるので、科学者コミュニティの情報を得るならば、英語の情報をまとめた方がよい場合もあります。
しかし、たとえば、日本の医療情報について知りたい場合は、法律や規制、手に入る薬や保険適用ができる検査や手術の種類が、日本と海外でまったくちがうので、海外の情報源をまとめても、意味がない場合もあるでしょう。
これらの情報源や出典によって、AIの答えは変わります。

トレンドの変わりやすさ
今、変化し続けているトレンドについて質問する場合、1週間や半年でも、AIの答えが変わることがあります。最新の調査結果やニュースが出ると、変化するからです。また、トレンドはそもそもとらえがたいものなので、同じような質問をしても、答えが安定しないこともあるようです。
箇条書きに注意
AIの答えは、今のところ「箇条書き」で出ます。「1.〜、2.〜、3.〜、4.〜など、4つの項目について、それぞれ2つポイントをまとめ、計8点の文章が出る」といった形です。これは「正しい」情報かもしれませんが、断片的とも言えます。また、時系列や歴史、国際比較を整理して、「ものごとの流れがわかる」「全体の見取り図を描ける」ように理解できるかは、また別の問題になります。
箇条書きを一覧しただけで「わかった気になる」ことには、注意しましょう。箇条書きばかり読んでいると、結局、ぜんぶ忘れたりします。
AIのデメリット
最後に、AIのデメリットについてまとめます。AIは、この数年、大変なブームになっていて、投資や開発がものすごいスピードで進んでいます。一方で、懸念点も多く挙げられています。その一部を紹介します。
「AIバブル」崩壊のリスク
2025年の秋冬くらいから、「AIバブル」という言葉の検索数が、世界でも日本でもぐっと増えました。AIへの投資が加熱しすぎていて、実際に役に立つかが未知数な状況だと、バブルがはじけるかもしれない、という見方です。AIバブルの崩壊があれば、世界の金融にも悪影響が出るでしょう。それは懸念のひとつです。(下のグラフは、世界中のGoogleで”AI bubble”が検索された数。)

データセンターの乱立、消費電力が急増
世界中でAI専用のデータセンターがいくつも作られています。
AIには、AI専用のデータセンターが必要とされています。
いわゆる「サーバ」のデータセンターとは別です。
生成AIを動かす巨大な頭脳?「AIデータセンター」の仕組みと役割を解説 – OPTAGE
そのデータセンターを中心に、AIは実はとてつもない量の電力を消費して成り立っています。それは「学習」と「推論」(答えを返す)の両方のプロセスでそうです。消費電力を抑える工夫も進んでいるようですが(省エネ)、たとえばGoogleの消費電力は、2022年以降の3,4年で4倍になるなど、AIの影響は大きいです。
これは当然、地球温暖化、気候変動にもつながってくるので、再生エネルギーを使うにしても、消費電力を抑える工夫が必要とされるでしょう。あるいは、AIそのものの利用を抑制する必要があるのではないでしょうか?
ディープフェイクと性的ディープフェイク
AIは実在の人物の画像をもとに、存在しない「写真」や「動画」を生成できてしまいます。これを「ディープフェイク」と呼ぶことがあり、あたかも事実である(本人がその動画を配信している、など)かのように錯覚する可能性があります。これは、誤情報・偽情報として、サイバー攻撃の一種として使われることもあります。匿名で、誤情報を流すことで、実在の人物の名誉を毀損したり、ありもしない罪をなすりつけたり、選挙などで結果を操作するためにAIが使われるということです。
情報操作自体は、日本でもマスコミ(大手メディア)が、テレビから新聞、雑誌までコングロマリット(産業の複合体)を作って、特定の情報を隠蔽する、誤情報で著名人を攻撃するなど、以前からありますが、それを匿名で、インターネット空間で、安価に強力にできてしまうわけです。
また、倫理的に別の課題を含む「性的ディープフェイク」の問題もあります。実在の人物の性的な画像(女性の有名人や未成年のエロ画像など)をかんたんに作れるという問題です。このあたりはより広い文脈と背景をもって、規制していかないと、人権侵害や犯罪行為に当たるだけでなく、子供・未成年のネット利用やSNS利用にも、大きな弊害(へいがい)をもたらします。
著作権の問題
AIは、インターネット上の情報や画像を無差別に読み込めるため、著作権の侵害が起こることがあります。その結果として生成された画像や情報を使った場合には、利用者が罰せられる可能性も、将来的にはあるのではないでしょうか?
たとえば、すでにディズニーは自社のコンテンツやキャラクターをAIでどう利用させるか、新たに契約を結び始めているようですし、日本の大手新聞社が有料記事(本来は会員しか読めない)をAIに読み込まれ、無償配布するように内容を共有されたために、訴訟を起こした事例もあるそうです。
法的には、ブログの文章も、著作物として、著作者(書いた人)に著作権は帰属します。届け出や申請をする必要はありません。こうした文章もAIにより、無制限に利用・転用される状況は、放置してよいのか悪いのか、といったことがAIをめぐる倫理的・法的な課題としてあります。
労働と人権
AI開発をめぐって過酷な労働があります。
ビジネスのAI利用は倫理性が厳しく問われる 国連ビジネスと人権フォーラムで議論 – SUSTAINABLE BRANDS
しかし、実はこうした労働上の問題は、以前から検索システムの開発でも起きていました。2010年代の報道で見かけたことがあります。したがって、AI開発に特有の、初めて起きた問題ではありません。
まとめ
AIになんでも質問してみることは、おすすめです。
答えのない問いやプライベートなことは、わからないでしょうが、事実にもとづいた社会の課題や現状は、AIがかなり正確に、適切に答えてくれるはずです。世の中で疑問に思うことがあったら、聞いてみるとよいと思います。無料ですぐに使えるのも、大きなポイントです。
一方で、筆者はAIを過度に利用しないように、気をつけています。たとえば、この記事はAIを一切、使わずに書いています。AIのサポートや画像生成などは、使っていません。論旨や構成も、自分で作っています。各項目の調べごとも、自分が持っている知識を土台にして、従来の検索とサイトを通じて書きました。企画の自主性を重んじ、確実性の高い内容にしぼりました。
「AIで遊ぶ」「AIを使いこなせる」ことはこれからどんどん重要になっていくでしょう。でも、基礎となる知識を持ち、日頃から紙媒体やWebサイトの記事を含め、自分で情報を収集し、自分で考える作業を欠かさないことが、これからも知的な生産と判断にとってなにより大事だと筆者は考えています。
文:木村洋平
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