大阪万博2025年のレポート記事です。全体的な会場風景を紹介し、「大阪ヘルスケアパビリオン」「スイスパビリオン」の2箇所で取材したことを伝えます。

取材日:2025年9月27日
全体風景
大阪万博2025
期間:2025年4月13日〜10月13日
場所:大阪 夢洲(ゆめしま)
テーマ:いのち輝く未来社会のデザイン
筆者が訪れたのは2025年9月末でした。万博は大人気だと聞いていましたが、たしかに会場は大にぎわいでした。会場全体に人があふれ、小さなパビリオンでも1時間半〜2時間待ちの列ができていました。関西圏の来場者が多かったようですが、老若男女、海外の人も含め、さまざまなお客さんを見かけました。

一番、目を引くのは「大屋根リング」でした。会場をぐるっと囲むように木の建築が立っていて、その上と下を歩けます。上は植栽もされ、海風も吹いており、気持ちのよい空間でした。家族連れが大屋根リングの上で遊んだり、ゆっくり休んだりしていたのは印象的です。

大屋根リングは、日本の木造建築の歴史を活かして、木の建造物でモニュメントを作るというコンセプト(方針)があったようです。建築家の藤本壮介さんが設計を担当されました。万博会場全体の「風通しのよい印象」は、大屋根リングによるところが大きかったと感じます。

大阪ヘルスケアパビリオンの建築
大阪ヘルスケアパビリオンの建築には、「持続可能性」(サステナビリティ、SDGs)がよく取り入れられています。

提供:(公社)大阪パビリオン
まず、建物の設計には、「ひとつながりの回遊性」を意識し、障がいの有無や高齢者・子どもを問わず、同じ経路で回れるようにという配慮をしています。また、スロープやトイレの設計には、「ユニバーサルデザイン」の考え方を反映しています。
大阪ヘルスケアパビリオンは、「水」の流れを取り入れています。透明な膜屋根を流れる「水」は、水盤に流れ込んだ後、雨水貯留槽に回収され、再び屋根から流れ落ちる仕組みとし、「循環型の社会」が意識されています。水の流れは、空間に涼感を作り出してもいます。
そのほか、大阪府内産の木材を使うことで「地産地消」「ローカル域の循環」を大事にしました。アトリウムに自然光を取り込むことで、照明に使う電力量を減らしています。次世代型の太陽電池であるペロブスカイト太陽光発電パネルをパビリオンの屋根に取りつけました。
このように空間の物理的な設計から、水の流れ、建材や電気の使用にいたるまで、SDGsや持続可能性(サステナビリティ)の考え方が徹底して反映されています。
スイスパビリオンはイノベーションに着目
スイスパビリオンは「ハイジと共に、テクノロジーの頂へ」と題して、持続可能性(サステナビリティ)やイノベーション(革新)を大事にしていました。

パビリオン内には、アルプスの少女ハイジにちなんだカフェスペースがあり、展示は生成AIや3Dプリンタ、大きなスクリーンとプロジェクタを積極的に活用していました。将来の仕事や生活をAIで無数に画像化したり、気候変動によって溶けるアルプスの氷河の様子を可視化したりしていました。気候変動により白化し、消滅するサンゴ礁を再生するための装置も展示されており、それは3Dプリンタで自動化して作成できるそうです。
スイスパビリオンでは、持続可能性をおびやかす多くの課題に対して、新しい技術・発想によるイノベーションで対応しようとしていることがはっきりわかりました。
まとめ
2025年の大阪万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」を掲げており、自然に関わる木、水、緑などをよく見かけました。循環や持続可能性、SDGsが、大阪ヘルスケアパビリオンの建築やスイスパビリオンのテクノロジーなど、多くの面から目に見える形で作られていました。
目で見て、肌で感じて、歩いて回ってエシカルやサステナビリティについて感じられる会場空間でした。
文・写真:木村洋平
画像提供:(公社)大阪パビリオン
関連記事
大阪・関西万博2025のNTTパビリオンで、子どもたちが「時空を超えたコミュニケーション」を体験する(イベント取材)(PR)。