アロマで始めるエシカルライフ〜暮らしの中で地球を癒そう〜

アロマを使用して、地球を守ることができます。オーガニックやフェアトレード精油を選ぶ、化粧品を手作りする、ボトルをリサイクルするといった方法です。


アロマテラピーのきほん

アロマテラピーとは、「芳香(アロマ)」と「療法(セラピー)」を組み合わせた造語で、日本語では「芳香療法」と訳されます。

ハーブなどの芳香植物から抽出された精油(エッセンシャルオイル)を用いて、心身のバランスを整えたり、症状をやわらげたり、健康や美容に役立てることができます。

芳香成分を体に取り入れることで、自律神経やホルモンの働きを調整し、心身の調和を促します。

近年では病院や鍼灸治療院などでも導入が進み、医学的な観点から薬理効果の検証も行われています。


アロマは地球にやさしい?

アロマテラピーでは、植物から抽出された精油を活用することで、合成化学物質に頼らずに健康や美容をサポートすることができます。

たとえば、ラベンダーはおだやかな印象の香りとして、ゆったり過ごしたい時やリラックスタイムに。また、ペパーミントは、さわやかな清涼感で、気分を切り替えたいシーンで好まれる香りです。オレンジは、明るさを感じさせる香りとして、前向きな気持ちになりたい時に取り入れられることが多いです。

ほかにも、アロマテラピーでできるエシカルな選択の例をいくつかご紹介します。


オーガニック精油を選ぶ

オーガニック精油は、農薬や化学肥料に頼らずに育てられた植物から抽出されます。また、在来種を自然農法で育てた「ワイルドクラフト農法」で抽出された、珍しい精油もあります。

無農薬や自然農法での土壌づくりは、生態系への負荷が少なく、環境保全につながります。


フェアトレード精油を選ぶ

フェアトレードは、生産者が適正な価格で作物を販売できるよう保証する仕組みです。

精油の香りごとに認証マークを取得することはコストや手間が掛かるため、企業があえてマークを取得せずに、持続可能な原料調達に取り組んでいるブランドもあります。

精油の原料となる植物は、アジア、オセアニア、ヨーロッパ、アフリカなど、世界中の様々な地域が原産国となっています。そのため、買い手側が適正な対価を支払うことで、その地域に暮らす生産者の安定した生活を支えることができます。


石けんや化粧水が手作りできる

精油を使えば、石けんや化粧水などのスキンケアアイテムを手作りすることができます。

市販品のように大容量を買う必要がなく、「必要な分だけ作る」というスタイルは、ムダを出さないエコな暮らしの第一歩に。

また、香りの強さや使用感を自分好みに調整できる自由度の高さも手作りならではの魅力です。肌に触れるものをシンプルな材料で仕上げられるため、成分を自分の目で確かめながら安心して使える点もメリットです。

ここではアロマ初心者でも「化粧水」と「石けん」化粧品を手作りできる、簡単なレシピをご紹介します。


〈手作りアロマ化粧水のレシピ〉

◼︎材料(約100ml分)

・精製水 … 90ml
・はちみつ … 5ml
・好みの精油 … 5〜10滴
・エタノール… 5ml

◼︎道具

・計量カップ
・ビーカーまたは耐熱ガラス容器
・ガラス棒やスプーン
・スプレーボトル

◼︎作り方

  1. ビーカーにエタノールを入れる
    2. 精油を加えてよく混ぜる
    3. はちみつを加えて溶かす
    4. 精製水を加えて全体をよく混ぜる
    5. スプレーボトルに移し替える

※ 冷蔵庫で保存し、2週間以内に使い切りましょう。


〈手作りアロマ石けんのレシピ〉

◼︎材料(石けん1個分)

・石けん素地 … 50〜100g
・精製水またはハーブウォーター … 15〜20ml
・好みの精油 … 5〜10滴
・はちみつ(保湿用・お好みで) … 小さじ1
・ドライハーブ … 適量

◼︎道具

・ビニール袋
・計量スプーン
・クッキー型またはシリコン型

◼︎作り方

  1. 石けん素地を袋に入れる
    2. 精油と水を少しずつ加える
    3. 袋の上から手でこねて、粘土状になるまで混ぜる
    4. 好みの形に整える(型に入れてもOK)
    5. 風通しの良い場所で2〜3日乾燥させて完成


「ニールズヤードレメディーズ」のエシカルな取り組み

イギリス発のアロマテラピーブランド「ニールズヤードレメディーズ」は、ヘルス&ビューティブランドでは世界で初めて、100点満点のエシカル認定(*)を受けた企業です。

国際的に信頼度の高いオーガニック認定団体「ソイルアソシエーション」の審査をクリアし、また世界共通で厳格な基準とされる「COSMOS認定」も取得。さらに、動物実験は一切行わず、野生環境で育つ植物原料のサステナブルな調達や、フェアトレードの活動にも取り組んでいます。

商品の包装には、植物油インキやFSC認証紙を使用し、環境にも配慮しています。

ブランドの象徴であるブルーボトルは、全国の店舗で回収。山梨県の自然豊かな西桂町にあるガラス工房で加工し、店舗のディスプレイ資材やアップサイクル製品として再利用するなど、徹底した循環型のものづくりを実践しています。

Ethical Company Organisationによる企業の倫理性における監査


アロマで広がるサステナブルな暮らし

「香りを楽しむひとときが、地球を守る行動につながっている──」ということを知っていただけたでしょうか。

アロマを通じて「癒し」と「地球を守ること」を両立させ、日々の暮らしの中でサステナブルな選択を積み重ねていきましょう。


参考文献:『アロマテラピー大全集』佐々木薫、主婦の友社、2024


文・写真:棗なつめぐ

プロフィール:棗なつめぐ

棗なつめぐさん

エシカルライフ・ライター。国際協力を学んだ、元オーガニックコスメ販売員。JICAのWebコンテンツでディレクターと広報PRを経験。アロマテラピーインストラクター、経絡アロマセラピスト。エコフレンドリーな暮らしを心掛ける、エシカル・コンシェルジュ。男の子のママ。 Instagram:natmegood