平和のために大切なこと。アリ・ビーザーさんの言葉から考える

広島と長崎に原爆を投下した人の孫であるアリ・ビーザーさんは、原爆と平和について知らせる映像作家です。アリさんは「被爆者の話を真正面から聞く勇気と心」が大切だと言います。その勇気と心が、知ること、考えること、かかわることにつながります。

ビデオカメラをもった紳士的な人物

* 画像はイメージです。アリ・ビーザーさんご本人に容姿が似ているわけではありません。


アリ・ビーザーさんは、広島と長崎に原爆を投下した飛行機に乗っていた祖父をもちます。今は日本とアメリカの架け橋になって、広島や長崎を訪れ、話をして、映像作品を作っています。日本でもアメリカでも(英語の映像作品でも)原爆のない世界を求め、平和をうったえています。


広島出身の人が語った交流のエピソード

私(筆者)は以前、広島出身の人と話していた時に、こんなエピソードを聞きました。

「1945年に広島に原子爆弾を投下したのは、エノラ・ゲイという飛行機でした。その乗員のひとりであるジェイコブ・ビーザーさんの孫が、広島をたびたび訪れています。そのお孫さん、アリ・ビーザーさんは広島で講演をしたり、被爆者(や被爆2世ら)を取材したりする映像作家です。

私は子どもの頃に、アリ・ビーザーさんと広島の人たちが交流するイベントに参加しました。会場は穏やかで温かい雰囲気に包まれ、日本とアメリカの垣根(かきね)を超えて、原爆のない世界と平和を求める声が上がっていました」

この話を聞いて感動したので、私は家に帰ってから調べてみました。すると、いくつもの記事やYoutube動画が見つかりました。


アリ・ビーザーさんの記事や映像、イベント

あらためていくつか紹介します。

原爆をアメリカ人に伝え続けるアリ・ビーザーさん「被爆者という単語を知ってほしい」 2018年03月02日 – HUFFPOST

祖父は広島と長崎、両方の投下機に搭乗 アリ・ビーザーさん自己紹介 2024年10月30日 – 朝日新聞

【戦後80年】キノコ雲の上と下~祖父は原爆を二度投下した 祖父は広島長崎で被爆した~(ダイジェスト) 2025年3月10日 – 広テレ

「キノコ雲」の上と下の物語 孫たちの葛藤と軌跡 原田小鈴×アリ・ビーザー 新刊発刊記念 トークイベント(2025年8月3日におこなわれたイベントの告知記事)- 蔦屋家電


このうち、1番上のハフポスト(HUFFPOST)の記事には、アリ・ビーザーさんが「被爆者の話を真正面から聞く勇気と心」についてふれている箇所があります。(記事の中盤)

私は、私たちにとってまず大切なのは、この「被爆者の話を真正面から聞く勇気と心」ではないかと思います。被爆者の声を聞くこと。被爆者の言葉や映像に向き合うことです。

これは「被爆者の話」にかぎらず、原爆や戦争について紹介する記事や映像、アニメ作品、場所などについても同じでしょう。


向き合う勇気

私たちが日々を生きるなかで、「そういう話題はさけたいから。面倒なことにはかかわりたくないから」とならずに、向き合う時間をもつこと、そのための「勇気と心」をもつことが大事だと思うのです。

その後、原爆や戦争について自分から発信するかどうか、平和にかかわる活動をするかどうかは本人の選択でしょう。その点は基本的に「どちらがよい、わるい」「なにをすべき」と、周りがとやかく言うことではないだろうと僕は考えています。

しかし、向き合う勇気をもたないことには、なにも始まりません。小さなこと、短い時間からでも、原爆や戦争、平和について知ることは、誰の人生にとっても重要だと私は考えています。


まとめ

この世界で戦争が起こり、爆弾が落ちるのは、たしかに「大きな悪意」からかもしれません。

しかし、日々の平和を築き、守れないとしたら、それは「大きな悪意」のためであるというより、ただ「小さな勇気」「向き合う姿勢」「ちょっとした心の強さ」をもてないからではないでしょうか? すでにもっている財産や安楽に、気持ちが負けるか、つまらない意地を張るために、ふれたくないことから目をそらすからではないでしょうか。

みんなの平和を作るために、小さくても、知ること、考えること、かかわることを忘れないようにしたいものです。


文:木村洋平


参考記事:国際条約について学ぼう!