重曹とクエン酸で掃除をする

重曹とクエン酸は天然の成分であり、掃除に役立ちます。合成洗剤を使わずにキッチンや風呂場、部屋をきれいにできます。

クエン酸と重曹

重曹(じゅうそう)とクエン酸は天然の成分であり、掃除のときに役立ちます。合成洗剤を使わずに、家の中やオフィスをきれいにできます。また、重曹とクエン酸はそれぞれアルカリ性と酸性であり、使い分けを意識するうちに、汚れの種類や落とし方についての感覚が身につくでしょう。

* 重曹やクエン酸を使った掃除を「ナチュラルクリーニング」と呼ぶこともあります。化学的に合成された成分でない「自然(ナチュラル)」な掃除という意味です。すでにナチュラルクリーニング用の商品として、重曹やクエン酸を素材にしたものもありますが、今回は「重曹(炭酸水素ナトリウム)」と「クエン酸」そのものを粉で使うことを考えます。


汚れ落としの効果

重曹は、化学的には「炭酸水素ナトリウム」といいます。今のような洗剤のなかった時代から掃除に使われており、定番のアイテムともいえます。

アメリカのホームドラマ『フルハウス』では、登場人物のひとり(ダニー)がよく重曹で掃除をしており、「きれい好きすぎる」キャラクターとして笑いをとっていました。重曹は、掃除を象徴するアイテムなのです。

重曹はアルカリ性であり、キッチンの油汚れや風呂場の皮脂・アカを落とすのに役に立ちます。そういう汚れは「酸性」なので、アルカリ性の重曹で中和すると落ちやすくなります。

一方、クエン酸は酸性なので、アルカリ性の汚れを落とすのに使えます。とくに水回りに有効で、キッチンの水垢(白く固まった汚れ)やトイレの尿石などの汚れを落とせます。また、アルカリ性の臭いに対して消臭効果があります。

キッチンの写真蛇口とシンクがきれいである


重曹やクエン酸を使うメリット

重曹やクエン酸を使うメリットは、まず粉(こな)状なので、使いやすいことです。液体の洗浄剤は、プラスチックの容器に入っていて場所をとりやすく、残りの量がわからないこともあります。しかし、重曹やクエン酸は目で見て、手にとって使うことができます。

また、比較的安く手に入るのもよいところです。一番上の写真のように、袋で密閉・保管できるので場所もあまりとりません。

ふたつとも安全性が高いのもよい点です。重曹は、お菓子作りに使われるベーキングパウダーの主成分ですし、クエン酸はジュースや梅干しに含まれていて「疲労回復」とうたわれることもよくあります。ですから、手に触れて使うことができます。


気をつけること

重曹やクエン酸を使った掃除で、気をつけるべき点をいくつか書いておきます。

重曹やクエン酸は、「食用」のものとそうでない製品があります。「食用」でない製品を食べないように注意しましょう。また、重曹やクエン酸が溶けた液体は、アルカリ性や酸性が強くなることがありますので、目に入らないようにしましょう。

クエン酸は、大理石や一部の金属を変性させたり、損なったりするおそれがあります。そういう場所や製品には、使わないように気をつけてください。

クエン酸を「塩素系」の漂白剤や洗浄剤と混ぜると、有毒ガスが発生します。とくに「混ぜるな危険」と書かれた洗剤、洗浄剤などといっしょに使うことは必ず避けましょう。

なお、重曹とクエン酸は混ぜても、炭酸ガスが発生するだけで問題はありません。


まとめ

この記事では、重曹やクエン酸という天然の成分を使った掃除を紹介しました。

エシカルなポイントとしては、合成された化学薬品を下水や地下に流さなくてすむ、という点があります。また、アルカリ性や酸性といった汚れの種類も自然とわかってきます。そういった感覚は、掃除以外のことにも役に立って「生きる力」を育むかもしれません。

ちなみに、「合成洗剤や洗浄剤を使うとエシカルやサステナブルでない」と決めつけることはできません。適切な時に適切なモノを使って掃除をしていけたら、自分も周りの人も気持ちよく過ごせるようになると思います。


文・写真:木村洋平