マインドフルネスではじめるエシカルな生活

仕事の効率が上がり、心の安定にもよいと言われる「マインドフルネス」。この記事ではマインドフルネス(と瞑想)をシンプルに紹介するとともに、ハウツーにとどまらないマインドフルネスの「文化面」についてもじっくり解説します。

山の上で瞑想するひと

ただでさえ寒さや乾燥の厳しい冬、2020年はコロナの影響も加わりました。

「いつも漠然とした不安がある」
「目の前の家事や仕事に集中できない……」

そうした気分の落ち込みを抱えるひとも多いのではないでしょうか。

ここでは「頭がすっきりして、心が落ち着く」と言われるマインドフルネス(と瞑想)を紹介します。

なお、『世界のエリートがやっている 最高の休息法』久賀谷亮, ダイヤモンド社, 2016 という本を参考にこの記事を執筆しています。


【実践編マインドフルネスとはなにか?

マインドフルネスとは、「いまここ」に集中することです。

言いかえると、「上の空」にならないこと。

たとえば、禅の言葉に「喫茶喫飯」(きっさきっぱん)があります。

これは「お茶を飲む時はお茶を味わう。ご飯を食べる時はご飯を味わう」という意味です。その時々で目の前のことに集中する、というあり方を表しています。

お茶を飲む時はお茶を味わう

残念ながら、珈琲を何杯も飲みながらせわしなく書類を作成したり、夕食時も「今夜中にあれとあれを済ませないと……」と To Do を考えたり、「いまここ」に集中しないライフスタイルは誰しも経験したことがあると思います。

「心ここにあらず」では、いっしょにいるひとにも失礼ですし、自分にもよくないですね。

意識や心を「いまここ」に向けるのがマインドフルネスです。

マインドフルネスはエシカルな生活の仕方と言えるでしょう。


マインドフルネス瞑想とは?

マインドフルネス瞑想は「いまここ」に集中する練習になります。また、瞑想そのもので気分が楽になることも多いです。

やり方はかんたんで、自宅でもオフィスでもすぐに始められます。


1.マインドフルネス瞑想のやり方

まず、やり方を紹介します。

・椅子か、床に座る
・じっとして目を閉じる
・呼吸はゆっくりする

これだけです。

もう少し具体的にアドバイスすると、

・背筋はゆるやかに伸ばす
・呼吸は無理に意識しない、自然でよい

なお、座り方は、椅子の場合には「背もたれに寄りかからない」「浅すぎず、深すぎない」腰掛け方がよいそうです。

床に座る時は、ヨガや座禅で見る「あぐら」のような座り方が一般的です。しかし、正座でもよいでしょうし、立っていてもできるそうです。


最後に、コツをひとつ。

・スマホでタイマーをかける

はじめは3分、5分程度でよいでしょう。慣れると10分、15分でもじっとしていられるようになると思います。もっとも、マインドフルネス瞑想では「長い時間すること」が必ずしも重要ではありません。

なぜタイマーを使うかというと、「鳴るまでは動かないぞ」という緊張感が生まれ、集中しやすくなるからです。べつにタイマーはなくても大丈夫です。

もうひとつ、マインドフルネス瞑想は、その時の体調やメンタルの状態によって、同じ5分でも長く感じたり、あっという間に感じたりします。

その感覚の差を覚えるのも、心身の状態把握の役に立つと思うので、コツとしてタイマーを挙げました。

* マインドフルネス瞑想自体には、「時間を決めてやろう」「時間を計りなさい」という規則はありません。念のため。


2.マインドフルネス瞑想にはどういう効果があるのか?

では、マインドフルネス瞑想をするとどういうよいことがあるのでしょうか。3つ挙げます。

・穏やかな気持ちになる
→ 日常のなかで「気が散る」「気力が湧かない」「イライラする」といった状態を解消できる。

・メンタルヘルス(精神衛生)を改善する
→ 溜め込んだ「ストレス」を減らします。なお、うつ病や統合失調症に効果があるという医学論文もあります。(ただし、それは医者や専門家のもとでおこなう場合を想定しています。)

・感情の起伏がやわらぐ
→ 怒りのような強い感情、衝動に流されにくくなります。


このように、いろいろとよい効果があるのですね。主にアメリカで実践・研究されており、Nature などの科学雑誌に論文が出ています。すでに約50年の研究の蓄積があります。


3.実際にマインドフルネス瞑想を半年以上、続けた感想

筆者はコロナでステイホームが長くなったこともあって、半年以上、マインドフルネス瞑想を続けました。

マインドフルネス(瞑想)の効果としては、「集中力が上がる、記憶力がよくなる」といった話も聞きますが、たしかに頭のなかがクリアに、すっきりとして来ます。

そして、感情的なわだかまり、胸にあるモヤモヤがなくなっていく感覚があります。

一日5分でよいので、継続することがポイントだと感じています。

朝起きてすぐの時間、または夜の就寝前、仕事や家事を終えて気分がゆったりとした時間におこなうと、ルーティン(習慣)にしやすいのではないでしょうか。


4.マインドフルネスのどこがエシカルなのか

「マインドフルネス瞑想ってエリートのライフハックじゃないの? そんなにエシカルなんですか?」

と思われたかもしれません。

エシカルSTORYでは、エシカルを「ひと、環境、社会、地域、文化」に配慮するライフスタイルと定義していますが、マインドフルネス(マインドフルネス瞑想)は「文化」に深くかかわります。


次のページではマインドフルネスの歴史と文化についてじっくり紹介します。

ご興味ある方はどうぞ続きを読んでみてください!