月経カップがサステナブルな理由

最近、注目されている月経カップのメリットやデメリット、その使い心地などを詳しくご紹介します。すべての女性に一度は試してほしいサステナブルな生理用品です。

生理用品には大きく分けて3種類あります。一般的にドラッグストアで売られている生理用品は、ナプキン、タンポンです。そして、最近徐々に認知されつつある第3の生理用品が、月経カップです。本記事ではそのメリットやデメリット、筆者が実際に使用してみた感想をご紹介します。


月経カップとは、医療用シリコンや天然ゴムなどの樹脂素材で作られた柔軟性のあるカップで、膣の中に装着して経血を受け止め、カップに経血が溜まったら体外に取り出して洗浄し、繰り返し装着するものです。主に米国やヨーロッパで製造されており、今のところ日本で入手するには、インターネット通販での購入となります。アマゾンや楽天などでも取り扱いがあります。

月経カップのメリットは、同じものを繰り返し利用できる点です。ナプキンやタンポンは使い捨てで、一日に何度も取り換える必要があるため、常にいくつか持ち歩く必要があります。また、多い日用・少ない日用など数種類を使い分けることが必要です。通常はドラッグストアやコンビニなどで購入できますが、お店の少ない地域、お店の閉まっている夜間、言語が通じにくい海外、災害時の避難生活などでは、生理用品の調達が困難になります。

例えば、2020年の新型コロナウイルス感染症の流行によるロックダウンの際、流通の停滞とともに生理用品が品薄になりました。流通後も、紙製品の購入はトイレットペーパーなどを含めて一人につき一点までなどの制限があるお店もあり、筆者は都内のドラッグストアをはしごするなど購入に苦労しました。このように、何かのきっかけで生理用品の入手が困難になった場合でも、月経カップを持っておけば安心です。

また、月経カップは経済的です。女性は一生のうち約40年間にわたり、計400~500回の生理を経験するといわれています。生理用ナプキンを使用する場合、1回の生理でのナプキン代を1,000円と仮定すると、生涯で40~50万円のコストとなります。一方、月経カップは1つ5,000円ほどで購入可能で、最大で10年間使用できるといわれています。月経カップを使用すれば、理論上、生涯でわずか2万円のコストに抑えられます。経済的かつ繰り返し使えるため、生理用品を入手しにくい発展途上国の女性たちにも使用が勧められています。

さらに、月経カップの装着時間は最大12時間と長く便利です。外出先や仕事中などに交換しなくても済みます。お風呂やプールでも使えます。また、ナプキンの使用などによる、蒸れ、肌荒れ、匂いなどが減ります。個人差はありますが、使い心地も優れており、ほとんど生理がない時と同じように過ごせます。

これらのメリットはタンポンと似ています。しかし、タンポンの問題点は、トキシックショック症候群(TSS)です。TSSは、タンポンを長時間使用することによる黄色ブドウ球菌の繁殖によって引き起こされるショック症状で、正しく使用しないと、最悪の場合、死に至るケースがあります。その点、月経カップではTSSやその他重大事故の報告がないのと、煮沸消毒が可能なため、より安全・衛生的といえるでしょう。

また、月経カップは繰り返し使えるため、資源の消費を抑え、廃棄物を減らします。生理用ナプキンには不織布、ポリエチレン、吸収性ポリマーなど、分解されない様々な合成素材やプラスチックが用いられています。欧州委員会の調査によると、海で5番目に多く見つかるプラスチックごみが、ナプキンやタンポンなどの生理用品です。これは、ビニール袋やストローよりも多い結果となっています。そのため、資源利用や廃棄物の観点からも、月経カップは地球環境に優しい生理用品といえます。

一方、月経カップのデメリットは、着脱が難しいという点です。月経カップはある程度の大きさがあり、折りたたんだ状態で挿入してから装着します。痛みがあったり、正しい位置に装着できなかったり、取り外せなくなる可能性があります。そのような場合は、婦人科を受診しましょう。また、慣れるまでは正しく装着できずに経血が漏れる可能性があります。こちらは練習したり、ナプキンと併用したりすることで防ぐことができます。


さて、筆者が実際に月経カップを使用してみた感想ですが、最初は正しい位置に装着するのに苦労しました。痛みもありますし、着脱に時間がかかります。月経カップの様々な折り方を試し、2周期ほど経験したところ、スムーズに使えるようになりました。慣れるまでは何回か練習が必要ですが、インターネットや動画サイトなどでも様々な分かりやすいアドバイスが載っていますので参考になります。

うまく付け外しができるようになれば、これほど快適な生理用品はないと思います。装着感がほとんどありませんし、一日に1、2回しか取り換えなくてよいので、仕事中や外出先で交換しなくても済みます。ナプキンと併用すれば、睡眠中や運動時などの経血の漏れはほぼ100%防げるため、洋服などを汚しませんし、普段通りの下着で過ごすことができます。生理中であることをほとんど忘れられるため、普段通りアクティブに動けます。とはいえ、着脱にひと手間かかるのと、量が多い日は多少漏れる場合があるので、ナプキンなど他の生理用品と併用したり、使い分けたりすると便利だと感じました。


以上、月経カップのメリットとデメリット、使用した感想についてご紹介しました。月経カップは、使い心地がよく経済的で環境にも優しい、サステナブルな生理用品です。人によって合う方、合わない方がいらっしゃると思います。しかし、一つでも多くのオルタナティブの選択肢を知っていることは、仕事や趣味などの分野へのアクティブな参加、災害時の安心など、女性のQuality of Life(生活の質)向上に役立つと筆者は考えます。今後、月経カップがドラッグストアで気軽に購入できるようになることを願います。女性にはぜひ一度体験することをおすすめするとともに、男性にも女性のご家族などにその存在を教えていただければと思います。


文:Masumi

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